Jin

悲しみに、こんにちはのJinのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
3.8
“私のことは言ってた?”
“娘の世話ができなくて悲しんでた”
“(実際に)そう言ったことある?”


両親をなくし、一人娘を育てる叔父夫婦に引き取られた女の子。表情を変えず、感情を殺す小さなこどもが、悲しみと向き合うお話。

まるでドキュメンタリーのようだけど、どうしてこんなにもリアルに子供の心を映し出せるのだろう。
話には一切の抑揚がないから、劇的な面白さはないけど、すごく心動かされる。

叔父叔母と従姉妹との生活は幸せなのに、どことなく感じる居場所のなさと愛の不足。
両親の死と向き合えないために、全く動かない表情。
それが少しずつ、溶けだしていく。

遊びにきた祖父母が帰るのを必死に止めるシーンや、義妹が溺れるシーン、家出のシーン、そして最後の号泣。
幸せを噛みしめるのではなく、幸せの中で始めて向き合えた「悲しみ」。

子役のこれが全部演技だとすると物凄い。
“何で泣いてるの?”
“わからない!”
グッと心つかまれる。

あと、久しぶりに邦題がいいなと思った。
悲しみに、こんにちは。
Jin

Jin