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スパイダーマン:ファー・フロム・ホームの1303のレビュー・感想・評価

3.6
特殊効果や音響、殺陣やカメラワーク等々映像表現において制作体制が世界的トップクラスである点に疑いの余地はありません。また今回は既発トレイラーを逆手に取ったトリッキーな展開やディズニーの十八番とも言えるサイケデリックな演出も加わり過去作品どれとも違うスパイダーマンとしてとても新鮮に楽しめました。
ただやはりこのシリーズ(前作含)のネックとして挙げたいのはIWとEGの前後である事に起因する戦力のインフレです。最強最悪の宿敵サノスを打倒する為に召集されたユニバース全体を改めて見返すと劇中のピーターでなくても「キャプテンマーヴェルは?」と尋ねたくなるのも当然で、より強力な仲間が存在する世界に於いてそれでも"親愛なる隣人"でなければならない理由が提示されなかった点は残念です。
ただこの作品を語る上でミステリオの存在が示唆するものに対して強く想いを馳せない訳にいきません。
彼がスーパーヒーローという美しく壮大な嘘を実現する製作者(さらに宗教や信仰である事まで匂わせながら)の比喩である事は明瞭でありそれに対するマーヴェルスタジオの自嘲的な目線と更にその先にある矜持のようなものに熱いメッセージ性が見て取れます。
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