エジャ丼

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのエジャ丼のレビュー・感想・評価

4.6
「鉄の意志を継ぐ」※ネタバレ注意

MCUのせいでベストムービーがコロコロ変わる人、挙手
(あらすじ長め)


物語は「エンドゲーム 」直後。人々は宇宙を脅威から救ったアベンジャーズを讃え、アイアンマン 、キャプテン・アメリカらの犠牲を悲しむ人もいた。
指パッチンの被害に遭った半分の生命、言い換えれば"パッチン組"の空白の5年間はなかったことになっていた。ブラッドのように、この前まであんなにチビだったあいつが、今や同級生!? なんてことも起きているのである。

新学期からやり直した学校生活も、ついに夏休みを迎え、ピーターたちはヨーロッパ旅行へ出かけることになった。MJ=ミシェルに想いを寄せるピーターは、今はスパイダーマンとしての活動よりも友達との旅行を優先したいと考えていた。

水の都、ヴェネチアで観光を楽しんでいたピーターたち。そこに水の巨人「ハイドロマン」が出現!スーツを置いてきてしまったピーター、どうする!? とそこに、謎の緑色のヒーロー「ミステリオ」が登場。ハイドロマンを見事倒し、その場を去っていった。

その夜、ニック・フューリーの待ち伏せに遭ったピーター。ミステリオ、本名クウェンティン・ベックと再会。彼は指パッチンによって開かれた異なる次元から来ており、ベックの世界はハイドロマン含む集団「エレメンタルズ」によって滅ぼされてしまったと語る。ピーターは旅行の傍ら、ベックと協力し敵と戦うことになってしまう。

チェコ、プラハ。金属を吸収し強大化する「モルテンマン」が出現。ミステリオの捨て身の一撃でなんとか倒すも、自身の無力さに気づいたピーターは"次のアイアンマン "になれるのは自分よりもベックであると感じ、トニーの形見で超ハイテクAI「イーディス」が搭載されたサングラスを渡してしまう。

・・・これがベックの目的だった!!
なんと別の世界、いわゆるマルチバースから来たというのは真っ赤な嘘であり、ミステリオやエレメンタルズは、元スタークインダストリーズの社員で、スタークの存在に隠れ才能を認められなかった技術者たちが創り出したドローンやホログラムによる"見せかけ"だったのだ。

旅行は最後の夜を迎え、MJに自分の気持ちを打ち明けるために外へ連れ出したピーター。なんとそこでMJに自分がスパイダーマンであると見破られていたことを知る。そして、自分のことを見ていたのは、気になっていたからではなく、疑っていたからだという事も…。
その証拠に、MJはウェブのくっついた機械の破片を見せる。するとその機械からホログラムが映し出され、そこには風のエレメンタルズと戦うミステリオの姿が!

ピーターはニックに真実を伝えるためベルリンへ。しかしそれも偽物であり、気が狂うような幻を見せられたピーター。しまいには鉄道に跳ねられてしまう。

目を覚ますと、なんとオランダの留置所にいたピーターは、ハッピーに助けを求める。ハッピーに励まされ自分のすべきことを見出したピーターは新スーツを作成、友達を危険から救うためロンドンへ。ドローンの攻撃をなんとか攻略し、幻も"ムズムズ"で乗り越え、ベックを倒すことに成功した。

MJとデートに出かけたスパイダーマン。しかし街のスクリーンに衝撃の映像が。死ぬ間際のベックによって、スパイダーマンがミステリオを殺したように見える映像が流され、それだけでなく、正体をバラされてしまったのだった…!!


MCUのフェーズ1〜3「インフィニティサーガ」がこれで終了。エンドゲームの箸休め的な立ち位置に留まらず、これからのMCUの可能性をものすごく感じる映画だった。

まずは、アイアンマンからスパイダーマンへの世代交代。スパイダーマンって、ひょっとしたらマーベルで一番有名なキャラクターで、日本でも特に人気なはずなのにMCUだとド主役級の立場ではなかった。それは途中参加というのもあるかもしれないが、師弟関係にあったアイアンマンの存在が最も大きな理由。この映画は、そのアイアンマンがいない今、ヒーローとして自立せざるを得なくなったスパイダーマンの物語だと思う。
なので、スパイダーマン3では実力者としての活躍を期待。既にジェイ・ジョナ・ジェイムソン、スコーピオンが登場した今、ps4スパイダーマンみたいに、ニューヨークで敵とごちゃごちゃ騒ぎするのも十分実現可能だろうし、シニスターシックス出してほしい!!

感心したのはミステリオの描き方。原作だと確か映像系の技術者?らしいが、あの魔法じみたデザインをホログラムとドローンで再現、という設定。現代的すぎる。もうなんでもできるぞ、MCU。
ミステリオたちの騙しの核は、見た人を信じさせること。「見たものを人は信じる」的なセリフ、これ、現代のSNS社会にぶっ刺さると思った。直接、間接、関係なく見たものが本当かどうかは証明されない限り確かではない。それでも信じてしまう人間の弱さを利用したミステリオ、最後までお見事でした

もうエンドゲームのスチブまで楽しみがない…