でんき

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのでんきのレビュー・感想・評価

4.3
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』楽しかったぁぁぁ。まぁ正しいタイトルは『スパイダーマン:ヨーロッパ・ツアー』ですね。今回は明らかにスパイダーマンとは相性が悪いファンタジーベースの敵役エレメンタルズが登場して、我らが親愛なる隣人のスパイダーマンは苦戦を強いられ謎の先輩ミステリオにおんぶに抱っこ、それよりもスパイダーマンである前にまだ10代の少年であるピーター・パーカーはヨーロッパ・ツアーを満喫したいし、“ダークな趣味が最高”なMJが気になって仕方がない。どうなるスパイディ、危うしスパイディというお話です。

「スパイダーマンFFH」は率直にいうと、ただ楽しいだけの作品だったな、という印象です。『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経てどんなものを観せてくれるのだろうか、という期待や感動を求める人を満足させる映画ではありません。高評価には変わりありませんが、やはり「エンドゲーム」の壁は大きくそれを前にすると「スパイダーマンFFH」ではインパクトに欠けます。

しかし作り手の術中にハマってしまった感覚は面白かったです。「エンドゲーム」を観た後では劇中で語られる嘘に簡単に騙されてしまいます。たぶんマーベル・スタジオは、MCUの新作が発表されると、Twitterなどでファンが自由に下馬評を述べるのも利用しています。途中「どういうこと?」と思う場面があって、それが何なのか判明すると物語は『アイアンマン4』と化します。楽しい映画でありつつ、まぎれもなくアイアンマン1~3の流れを組む物語になっていて、今後トニー・スタークの活躍を観られなくなり悲しんでいる人にも目配せした作品でした。これだからMCUは止められない。キャップとソーが好きな人にはたまらない場面もあります。ここらへんは瞬間風速が最高潮に達するのを感じました。あとこの作品そのものの冗談のセンスも最高。

それにこの作品、一番楽しめるのはティーンエイジャーじゃないかなって思います。甘酸っぱいと言えばよいのでしょうか。ピーター・パーカーとMJの恋模様がとても好ましく描かれていました。

このようにみどころの多い作品ですが、一番印象に残るのは、思わぬ人物が登場した場面だったりします。
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