Masato

ジュリアンのMasatoのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
3.9

そのままでいれば夫が待っている。逃げれば法が待っている。恐怖のジレンマに陥った母親と息子の物語。

最初の調停のシーンで恐るべきスピードで会話していたので、さては難しい映画か?とバカなりに思ってしまったが、そんなことはなく分かりやすく夫婦の問題と子どもの複雑な感情を描いていて、ラストはその展開を利用した凄まじいスリラーになっていく。いやホラーか。

何はともあれ特筆すべき点はラスト。このラストのために今までの話があったようにも感じさせる。徐々に夫への恐怖を蓄積させていくことで、チリツモの恐怖が一気にラストで開花するような感じ。リアルな恐怖を与えてくるのでとにかく怖い。ラストの電話音?インターホン?の恐怖…スゲェ

夫の外見が見た目そのままなクズで、最初こそどちらにも非があるのかなと思ってはいたけど、徐々にコイツは典型的なヤバい奴だと露わになってくる。

息子のジュリアンが両親に板挟みにされてて可哀想だった。お母さんを守るために嘘をつくけど、それをお父さんに糾弾される。どうしたらいいの?って不条理な気持ちになる。ジュリアンってタイトルだから、最後に暴走してしまうのでは?とも思ってしまった。

法こそ人を守るものだと思ってしまうが、実は危険と隣り合わせにしてしまっているという事実もある。逃げられない状況を作ってしまっている。
日本では共同親権ではないが故に「共同親権にしろ」と叩かれたりすることがある。それに関して、私は中立の立場をとるが、共同親権でも本作のような事も起きるということを頭に入れておかなくてはならない。逆に共同親権であるが故に起きてしまった事件。

日本でも子どもが虐待にあったりする事件は多い。単独でも共同でも双方のデメリットや過去の事例を考えつつ、より良い法整備をしていくことが大切なのだなと思った。
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