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劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-のdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.9
【安定のベタ】

自分的には好意的な意味での「ベタ」ですね。
良くも悪くも「日本の娯楽大作」という感じで上手くまとまるのかな。
TVドラマシリーズの劇場版という事で、当然それまでの流れや繋がりなどはあるにせよ、シリーズ未見の方でもある程度楽しめるようなテーマ設定なので、万人受けするタイプの映画ではありますが、穿った言い方をすれば「泣かせてやろう」という力技感がちょっと強く、そんなに詰め込むと逆にあざとい感じになっちゃうのに・・・とこっちが気にしちゃうくらい。
まぁもともと医療系ドラマなので「出会いと別れ」や「生と死」に直面する場面を描くことが多くはなる。まして「救命医療」の現場であれば尚更だろう。
だから、「そんなに都合よく事故ばかり起きないよ」とはならない。
事故が起きて負傷者が出たら彼らの出番なのだから、事故以外でアラームがなることはない。
それはそうなんだけど、まるでオムニバスかのようにエピソードを詰め込んじゃったから、結果として未消化なままのエピソードもあったし。
「踊る~」シリーズのようにいくつかの伏線的なエピソードを最初にばら撒いておいて、それを終盤辺りで1本の太いお話しに纏め上げるという手法ならそれもアリかなとおもったんだけど、そういった意味ではちょっと雑に扱われてしまったエピソードもあったので残念だったかな・・・。

とは言え、全体を通してみれば「おもしろかったよ」とお薦めできる作品だと思います。
あまり「裏テーマ」だの「メタファー」だの野暮なことを考えずに、直感的に泣けるとか笑うとかそういうのでいいのではないのかな・・と、特にこういう映画はね。

先に「未見の方でも~」と書きましたが、そこはやはりシリーズ物ですので、以前からのドラマシリーズをご覧の方であれば思わず嬉しくなるような展開や、胸がキュ~っと締め付けられるようなシーン、過去の登場人物の思わぬ形での登場に思わず涙してしまったり・・とキチンといい意味での流れを踏襲していると思います。
個人的には「出発」という言葉がスタッフそれぞれに当てはまるのかなと。
ドラマ版のシーズン1、2でフェロー(いわゆる研修医)だった藍沢先生(山P)や白石先生(ガッキー)達もいよいよ一本立ちし、新しいフェローが入ってきたのがシーズン3。
ま~使えなかったんですよ、新人の3人とも(笑)
技術はあるけど本気出さない名取先生(有岡大貴)、心はメチャクチャ優しいけど自分に自信がなくてすぐにパニック起こす灰谷先生(成田凌)、出来てんだか出来てないんだかすらわかんないけどとにかく明るい横峯先生(新木優子)。
彼らが引き起こす「すっとこどっこい劇場」がメインなんだけど、灰谷先生なんかは笑えないくらいダークサイドに堕ちるし・・・。

・・・からの「劇場版」なんです。そう考えると「あのポンコツフェロー達がね~」と目を細めて見てしまうくらい成長してるんですよね(横峯先生は相変わらずマイペースだけど)。そして、それを見届けるかのように新しい場所へ巣立っていくメンバー。
やっぱりドラマ版観てた分だけ押し寄せてくる感慨みたいなのもあって、それはそれでよかったかな。

・・・あと、田所院長(児玉清さん)・・・。
あの出方は反則だよ・・・。泣いちゃったじゃん(笑)
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