お湯

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-のお湯のレビュー・感想・評価

3.7
◇10年

コードブルー全シリーズ、2.3周くらい見ている気がするが、
1話の中で数人の患者、医者の話があって、群像劇的に一つの大きなメッセージを伝えるという形が共通してとられてきたと思います。

今作もそれは守られているのですが、やや語り方が上手くなくて、あっちへこっちへ、と振り回された感じがした。
この映画では「メッセージ」というのが大テーマかな、と思うけれど、
生きているうちでしか伝えられないメッセージ、生きていても伝えられないメッセージ、亡くしてから気づくメッセージなどなどバリエーション豊富で、一つ一つがとても心に刺さる。
フィクションだからこそできる、あのメッセージには涙が止まらない。

もちろん、この映画の中の話だけでもメッセージなんだけど、
なにより10年間この作品を作り上げてきた制作陣から、私たち視聴者へのメッセージでもあると思いました。

全シリーズ見ていなくても楽しめるけど、見ているからこそ楽しめて、泣けるシーン満載。

あ、劇場版なら、スクリーンいっぱいに使えるシネスコで撮って欲しかったな……

〇冴島、雪村回でもあると思う、この劇場版。
私は冴島さんがずっと好きで、なんでこうも彼女にシリーズごとに、大絶望を与えるのだ!と怒っていたけど、
ようやく、です。本当に幸せになって。

雪村を演じる馬場ふみか、「もっと演技がしたいです!」とプロデューサーかディレクターかに言った、という話を耳にしたことがあります。(たぶんananの記事)
ドラマでは医師3人を支える役回りであまり目立たなかったけど、今回しっかりバックグラウンドも描き込まれ、
現場で藍沢の言葉に心が揺れるシーンの表情がとても好きだった。


〇あとあと真剣佑の演技が、とても良かったです。好きです!
パシリム以外全部映画ドラマ見てると思うけど、たぶん1番好きな演技だ。

端役であり、患者の婚約者という立ち位置でありながら、役に対する熱意?というか没頭してる感じにびっくりした。

予告編からして、すごい表情してるなぁとは思っていたけど、余命僅かな愛する人を見つめる目は、思い出すだけで悲しくなるわ……
真剣佑に限らずだけど、泣き出したい気持ちを抑えて、見せる笑顔の演技は、心打たれる。
よく見るのは無理やり笑うって感じだけど、今作の彰生さんは心の中でも微笑んでいるように見える。のがすごい。


〇医師だって、看護師だって、1人の血の通った人間であり、患者の命を助けることは患者の人生をつなげ、自らの人生をつなげることだ。
天才ドクターではなく、自らの人生に苦しみ葛藤し、壁を乗り越えていく医師たちを描いたコードブルーシリーズは、新鮮で、批判されながらも、多くの医療従事者から支持されているドラマでもあったようです。

多視点的に描くことで、チーム医療、臓器移植、医師不足、医療ミス訴訟、など
医療の現場に起こりうる様々な事象を、視聴者に提示できた。

医療現場というのは、働いたこともないし働くこともないであろう私にとっては、遠い存在に思えるんだけど、
人間らしいキャラクターがたくさんいたからこそ、最後まで親近感を持ってこのシリーズを見終えることができた。

とても大好きなドラマシリーズでした。
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