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ダンシング・ベートーヴェンのNMのレビュー・感想・評価

3.7
第九、ベジャール、と聞いて反射的に前売券を買い、何も情報のないまま観に行ったが、
想像とは違ったものの、勉強にもなり良かった。
というのも、
公演に向けて様々なトラブルが起こる、というのは当然として、
第九について様々な人物があれこれと考え、解釈し、最終的にそれを表現しているのが素晴らしい。
曲の解釈だけなら書籍でも足りるが、
映像としてバレエが伴うと説得力が桁違いだし、
第九の真髄が観る者の頭に嫌でも叩き込まれる。
専門書籍は知識がないと読めないが、
これなら一般人にも伝わると。
音楽専門家の解説ではなく、
ダンサーとしての解釈を、言葉のみならず身体で教えてくれるのは貴重だ。
もちろん音楽の力は言うまでもない。

ダンサーや演出家、みんな色々言うが、
人類みな兄弟だという、第九において最も大事なポイントについては、
関わる人がみんな意見が一致していることが伝わり、嬉しく思った。

バレエ公演全部や曲全楽章が流れるわけではなく、
あくまでドキュメンタリーなので、音楽は細切れとなる。特にソリストの歌唱は冒頭しか聴けない。
観終わったら必ず全部聴きたくなることだろう。

この作品を観て、
第九はぜひバレエ付きで観たいものだと思った。
そう思わせる台詞が何箇所も登場する。

公演のDVDは発売されているそうなので、
それも観てみたい。
実際東京公演を観た人によると、
二階席も「円」が見えて良いそうだ。

バレエファンはもちろん、
年末第九を聴きに行く予定がある人、
そして第九などもう何度も歌った経験のある人も、
今まで知らなかった第九の一面を見られるかも知れない。
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