森崎

ダンシング・ベートーヴェンの森崎のレビュー・感想・評価

4.0
「第九」でバレエ。
モーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、さらにはオーケストラと合唱団による壮大な公演に至るまでを記録したドキュメンタリー。

ストイックながらも愛に満ち溢れた構成だったと思う。
嫉妬や羨望、叱責といったゴリゴリとした狂気や野心的な物を極力排し、喜びや己への悔しさ、人と関わって生きていくためのポジティブで向上心のある面を映して団員らをダンサーとして切り取るのではなく一人の人間として見つめる。
踊る喜び、子がいる喜び、親になる喜び、ソリストである喜び、良いものを創る喜び…
何度も口にされる人類皆兄弟という言葉の通り、皆が持てるものを発揮してこの演目を完成させることの意義を感じた。

そして最後の公演のシーンは圧巻。赤と白とオレンジと茶の衣装、上から見下ろすように眺めるダンサーの円、身体に汗を光らせながらする呼吸、生命力に溢れた存在感、もっと見ていたかった。
森崎

森崎