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モリのいる場所のKUBOのレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
3.0
セリフはほとんどなく、ぼーっと蟻を見る山崎努をじーっと見る映画。

4月13本目の試写会は、山崎努、樹木希林共演、沖田修一監督作品「モリのいる場所」完成披露試写会。

「モリ」とは画家 熊谷守一のこと。私は失礼ながら、この作品を見るまで存じ上げなかったのだが、30年間自宅から外に出ずに生活していたという仙人のような画家だ。

上映に先立って行われた舞台挨拶では、日本映画界の至宝ともいうべき山崎努さん、樹木希林さんが揃って登壇。監督の沖田修一について聞かれた樹木希林さんは、

「最近はモニターの『絵』ばかりを見て、人を見ない監督が多い。沖田監督は、役者がうれしくなるような、『人』を大切にする監督。役者が芝居をしているのをモニター越しに見ながら、役者の気持ちになって、役者と同じ表情をしている。」

と、たいへん褒めていた。また山崎努との共演について聞かれると、

「文学座時代には雲の上の存在で憧れていたので、今回オファーを受けた時には二つ返事で引き受けた」と言っていた。

さて作品は、基本的には、何も起きない。隣にマンションが建つとか、それなりに一日バタバタするけれど、何も起きない。

ただ、自宅の庭(と言っても森のような庭だが)、その庭に住まう虫や魚などの営みをじーっと見ていることに生きがいを感じる「モリ(山崎努)」の日常を見るだけだ。

加瀬亮、三上博史など、脇を支える名優も主役級だったりしてびっくり。

「南極料理人」「横道世之介」など、ほんわかしたコメディに定評のある沖田修一監督。昭和の頃の話なので、突然 懐かしいギャグが出てきたり遊び心もあるが、今回はあくまで山崎努と妻役の樹木希林が醸し出す円熟の味わいを見る映画。興収は見込めないだろうけど、監督も好きなもの撮ったんだろうからこれで良し。