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モリのいる場所のlpのレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
3.5
期待を上回る良作だった!

役者陣のアンサンブルが効いていて、ほのぼの日常系ドラマとして充分に面白い。特に主演の山崎努に対する樹木希林の受けの芝居が素晴らしく、見ていて飽きない。
しかし、今作はそんなほのぼの日常系ドラマの領域だけに留まらない。要所要所でファンタジーへと飛躍を遂げる。上映後のトークショーで、監督は意図して寓話的な展開を挿入したと語っていたけど、その狙いは見事に嵌まった!話の本筋に適度に絡みつつ、映画が単調になることも回避できていて巧い。特に○○○の話をしてるからって、本当に△△△を落とすとは思わなかった!

タイトルにある「モリのいる場所」とは、主人公「モリ」の自宅の「庭」であると、アバンタイトルの庭と同化するような形で佇むモリを、カメラがサーっと流して映す瞬間にもう伝わってくる。
そしてこの「モリ」のいる場所である「庭」が、モリを表すメタファーとして存分に機能する。様々な生物・植物を受け入れる「庭」は、如何なる来客をも拒まない「モリ」の姿そのもの。敢えて「庭」のスケール感を終盤までハッキリと映さず、「庭」を広い空間に感じさせるよう仕向けていた点も、「庭」に「森」の印象を含ませることで、「庭」と「モリ」を重ねて映す意図に感じられた。

「ほんわかしたドラマかなー」ぐらいの期待値で鑑賞したら、意外にしっかりした技巧派の映画だったので、良い意味で裏切られました。惜しむらくは、演出の面では唸らされるものが多々あったけど、話を通じて伝わってくるメッセージがやや弱いことぐらいか。
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