バス行っちゃった

モリのいる場所のバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

モリのいる場所(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これをある種の理想的なスローライフと取るか、たまたま一芸に秀でていた引きこもり中年が迎えた晩年と取るのか。

自分は後者として受け取ったので、たとえば一日中自分のコントロール下に置けるものだけを見ていたり、他人の意図を汲むどころか食べるものすら自分で噛む砕くということをしない姿勢、そのくせ自分が単独では生きられないことを知っているので言葉を使って妻を気遣う狡さなど、基本的に主人公に対しては同族嫌悪的な感情しか抱くことができず、お前はそれで許されるのだろうけれどもという醜い嫉妬まで加わって、もういい年なのになんで中身だけこんなに子供なのだろうと結局自分にがっかりしたという。

ただ、主人公が一芸に秀でていたというのは、たった一つのことだけは、好きというだけに任せず自らを律しても取り組んできたという証であり、そこだけ外さなければ他のことから逃げ出したとしてもそんなに悪いことではないのではというようなメッセージなのかとも思ったので、作品そのものは嫌いになれずといった感じ。