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ノーウェア・ トゥ・ ハイド あるイラク人看護師の記録のkonomoのレビュー・感想・評価

3.6
難民映画祭にて。
監督がイラクの看護師さんにカメラを渡し、日常を記録してもらうという形で作られた作品。「日常」って言葉の中に含まれる多様性が重い。
最初、看護師さんは家があり、家族がいて仕事があって、でも周りには戦争や紛争、テロの被害に遭った人がたくさんいて、その人達を訪れて現状を記録する。怪我で仕事が出来ず、子供たちを学校へ通わせられない父親、朝出勤前に車を点検したら爆弾が仕掛けられていたという男性(幸い無事)、移動中に襲撃され、蜂の巣になった車…。そんなこんなだけでも酷いのだが、だんだん看護師さんの住む一帯にも危険が迫り始め、家を捨てて退避せざるを得なくなり、国内難民になるしかなくなってゆく。
全部現実にある「日常」。

昔は宗派や部族が違う者同士、仲良く暮らしていたのにどうしてこうなってしまったんだろう?という会話があり、「分からない」で終わっていて。
一旦人の心が荒れてしまうと、雪崩のように争い事が起こり、なかなか戻れなくなってしまうのだろう。
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