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ハッピーアイランドのjamのレビュー・感想・評価

ハッピーアイランド(2017年製作の映画)
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目に見えないものだからこそ

コロナウィルス騒動で誰もが
"もしかしたら、感染者?"と疑心暗鬼になり、
人と人との間に微妙な空気が流れる
…この感じ、なんだか覚えがある、と思ったら。
東日本大震災後の、主に福島原発関連の放射能汚染問題。
除染して、きちんと検査した農作物でも
"もしかしたら"という思いから避けられてしまう

ウィルスも放射能も、果たしてクリーンなのかどうかが目に見えないから、人々の不安を拭い去るのが難しい。
いっそ、歯科で使うカラーテスターのようなものが有れば
ウィルスや放射能が体にくっついていたら色づいて一目でわかるから

…いや、それはそれで別の問題がきっと。



震災から5年後の福島県須賀川市
何をやっても続かない真也が農家の仕事をするために東京からやってきた
はじめは、たぶんそれほどの思いもなく
けれど
熱く温かみのある正雄の姿を見て
地元で保育士として働く里紗にほのかな好意を寄せて

そうして芽生えた、
自らが収穫した農作物への誇り
風評被害を直接の言葉で体験する時…


見えないものと闘う不安

今、まさにコロナウィルスと闘う自分たちと重ね合わせて観て


この土地で生まれて育って
この場所でたくさんの笑顔が見たいだけ

何故ここで働くのか?
里紗の答えを聴く真也の表情に
少しずつ、けれども確実に育まれた意識をみて
そう
「すっげえ楽しい」この土地、この仕事

そのなかで
自ら向き合って考えた結論

里紗から真也へのエール

澄んだ瞳の真也が

それぞれの場所で
できることを頑張る

そう教えてくれた



今日で10年以上在籍した内科病棟勤務が終了
夕方の申し送り前に、師長からのお言葉と病棟一同からの花束をいただき
私のイメージで選んでくれたという
向日葵の鮮やかな黄色が眩しく

消灯時間までのひとつひとつのケア、処置
今度異動する病棟ではこれはやらないかもな、などと思いつつ
いつしか
向日葵のように満開の笑顔で


私は
私の場所で
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