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サニー/32のinotomoのレビュー・感想・評価

サニー/32(2018年製作の映画)
2.8
中学の教師をしている藤井赤理は、ある日突然、謎の男性2人組に拉致される。2人は赤理を、サニーと呼び、監禁する。サニーとは、10数年前に北海道で起きた、小学生による同級生殺人事件の犯人で、犯罪史上最も可愛い殺人者と、インターネットを中心に熱狂的信者を生み出した少女の呼び名だった。さらに、赤理を拉致した男達の他に、サニーの信者達が数人やってくる。監督は「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌。
白石監督作品は、原作ありきのものが多いけど、どの作品も骨太な見応えある作品が多く、この作品は実在の事件をモチーフにしながらも、映画のためのオリジナルのストーリーとの事で期待してみた。白石監督作品ならではの、容赦ない暴力は健在。インターネットの匿名性がもらたす問題とか、子供による犯罪とか、何かしらのメッセージみたいなものの片鱗は見えるものの、結局何が言いたかったのか、あるいは、したかったのか、それがうまく伝わらない作品だったように思う。見終わった後の消化不良な感じが何とも残念。役者は、白石監督作品常連の、ピエール瀧とか、リリー・フランキーは、あまりにもキャラにハマりすぎで、余裕の演技に見えた。ただ、その突出したキャラ設定が活かしきれていない印象も。主役の赤理を演じた北原里英は、目力はなかなかだったけど、発声と台詞回しに難あり。もう一人のサニーを演じた門脇麦の巧さと比べると、力足りずといった印象。あまり関係ないけど、北海道の誇るチームナックスの、音尾さんがちょっとだけ出演していて、この流れで、同じ白石監督作品の「孤狼の血」にも出演したのかなと思うと、ちょっと嬉しかった。
白石監督ならではの、人間ドラマの部分がちょっと薄味で、中途半端に感じてしまったのが残念。ただ、今後も注目していきたい監督であるのは確かだ。
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