黒羊

さびしんぼうの黒羊のレビュー・感想・評価

さびしんぼう(1985年製作の映画)
4.2
「さびしんぼう」

大林監督の、尾道三部作のラスト。

…ちゅーか、上の情報くらいで尾道が何県にあるかも知りませんでした!
広島県なんですね。でも時をかける少女も転校生も広島弁無かったよねぇ?

もちろんこの映画もオール標準語です。まぁゴリゴリの広島弁を使うと字幕いるレベルだろうから正解やと思うけど。

映画公開は1985年。昭和60年かぁ〜
風景や香りがノスタルジックで素晴らしい!
海が見える港町に住んだ事は無いけど、この尾道という所は今でもこの映画の風景の面影を残しているのかな、と願わずにいられない素晴らしい風景。

共学高校に通う、お寺の息子のヒロキ16歳。
ヒロキが片思いする女子校の子、
毎日口うるさいヒロキの母、
あまり喋らない父親、

そしてヒロキの前に突如現れた、ピエロみたいな白塗りメイクした変な女の子。

その子と接しているうちに、ヒロキは変な女の子をさびしんぼうと呼ぶ…


最初のクセのある(ウザい笑)ギャグパートを越えれば、初恋の綺麗さ、しょっぱさをショパンの「別れの歌」に乗せて、心に染みるように奏でてくれます。

初代ファミコンなど出て来ないので、この映画の時代設定は制作当時の1985年よりもっと前だと思う。

そんな時代の、それぞれの恋の物語を、

誰かを想った気持ちを、

「誰かに恋をすれば、人は誰でもさびしんぼうになる」

と表していて…

切ない気持ちに「さびしんぼう」という言葉がしっくりくるんですよねぇ。


大林監督得意のSF要素もあり、謎解き要素や、答えを出していない要素もあって面白い。

ヒロインの陰の設定(着物)とか、行動の意味とか考察するとまた切ない…


原田知世の「時をかける少女」は観たから、初代「転校生」を観たいけど、DVDレンタルじゃなくVHSしか置いてないんよねー

少年から大人になる時代の、昭和ノスタルジーな甘く切ない恋物語でした。
黒羊

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