HAL

ほえる犬は噛まないのHALのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
4.6
癖の強いキャラは多いけど、話は割ととりとめがなくて、でもなんでこんなにずっと面白いのか。

ペドゥナの黄色いパーカーや鼻血を止めるためのティッシュがその後男が着る黄色いレインコートに転移していったり、クルミ100個がコンビニまでの100mになりそのままトイレットペーパーひと巻き分に変わったり、同じモチーフが繰り返されたり変化を続けていく視覚的なパズルのような物語の語り方がすごい。アカデミー賞を取った『パラサイト』も別のテイクの台詞を繋ぎ合わせたり超絶技巧の映画だったが、ポンジュノは昔から芸達者でしかもエモーショナルなシーンもバシバシ撮れる人だったんだなと舌を巻いた。煙草ばっかり吸ってる女友達と車のサイドミラーを飛び蹴りで壊してそれを抱えたまま地下鉄の隙間でタバコを吸って友人にもたれて眠るとか、物語的には全然必要なさそうなのに超良いシーンなんだよな。まぁ、ポン・ジュノ映画的にはサイドミラーはむしろトレードマークみたいな小道具でもあるけど。

後から原題が『フランダースの犬』だと知ってビックリしたのと、なんだかツインピークスを見てるような気持ちにもなった。ヤバイやつだらけなようでいてみんなそれ以上に「普通」である、みたいな感じ。地下でたまに犬食をしてる警備員のおっちゃんとか。しかし、良い韓国映画は相変わらず心を抉っていくな……映画を観た後の切なさの度合いが切迫していて呆然とする。
HAL

HAL