マンションで妊娠中の妻と暮らすユンジュ。彼はマンションに鳴り響く犬の鳴き声にイライラしていた。日常生活や仕事でも鬱憤が溜まっていたユンジュはある日、マンションで見かけた犬を地下室に閉じ込めてしまう。一方、マンションの管理事務所で働く女性 ヒョンナムのもとに行方不明となった犬を探す少女が訪ねてくる。
ポン・ジュノ監督の長編デビュー作。
ポン・ジュノ監督作で言えば、「パラサイト 半地下の家族」が大好きなんですが、今作は作風としてはちょっと似てるようなところがあったのかなぁ なんて思ったりしました。まぁ一応コメディではあると思うけど、コメディとしてもシュールでブラックだし、ちょっとサスペンスチックな感じやドラマっぽい感じになったり。ジャンルレスなところが通ずるなぁと思いました。
演出が秀でているのもデビュー作から炸裂していると思いました。団地を活かしたカメラワークや双眼鏡のシーン、ワンちゃんを助けに行く時の文字通り黄色い声援のシーンなどなど。上手く言語化できませんが、ポン・ジュノのセンスを痛感しました。
内容が内容なので、ワンちゃん好きには中々堪えるものがあるでしょう。冒頭に「この映画の犬はちゃんと管理されています」って注意喚起するくらいですからね。作品全体としても、倫理観がちょっと外れているところもあって、こういう部分がちょっと怖さを感じました。
“暗”な物語なのに、それを面白おかしく表現する。このシュールな感じがなんともたまりませんな(笑)。めちゃくちゃ変な映画なんだけど、なんかおもしろい と感じる。さすがポン・ジュノ。デビュー作からその見事な手腕は発揮されていたんですね。