140字プロレス鶴見辰吾ジラ

きみへの距離、1万キロの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

きみへの距離、1万キロ(2017年製作の映画)
3.6
GW映画12本勝負”第2戦”
※GW中に800レビューに届くか!?

”君との距離、秒速1万キロメートル”

失恋し傷心の主人公は、遠く離れた北アフリカにある石油パイプラインを遠隔操作のロボによって監視する仕事についている。そこで偶然映像が捕らえた女性に一目ぼれしてしまう。どうやら彼女には思い人がいるのだが、国の文化と貧困ゆえの弊害で、親に無理やり結婚相手を決められているのである。

遠く離れたアメリカの地で、主人公は彼女への思いを遂げることができるのか?というワンシチュエーションモノの×恋愛モノ。

ランニングタイムも90分ない軽めの作品であり、ワンシチュエーションの縛りから、爆発的な展開の解放はないものの、ドローン含め遠隔操作による監視・管理社会となった現代劇として発想にて興味をそそらせるには十分である。

何気ない会話の断片がラストにつながる粋な計らいもあるものの、クライマックスのラストミニッツアタックは、そのシチュエーションにおける充分な必然性を感じられず、一気に頭の悪いエモーショナルなクライマックスに成り下がってしまったように思えるのだが、ただひたすらにひたむきな歩行をするカニ型ロボットの健気さが、主人公の純真さやあどけない遅れてきた青春を運んでくれた。

若気の至り的なエモさに糸目をつけず、ヒロインが主人公からの援助を受けるときのパスワードのシーンは失笑と愛情の狭間を射抜かれてしまった。

大好きじゃないが、嫌いでもない。
大作ばかりのGWの清涼剤となりえる一作。