ごるたーな

銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱 第1章のごるたーなのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「貴官は自己の才能を示すのに弁舌でなく実績をもってすべきだろう。他人に命令するようなことが自分にできるかどうか、やってみたらどうだ。」

【初めて観る人向けの全体あらすじ】
人類が宇宙に進出した遥かな未来。

人類は、皇帝と貴族が支配する銀河帝国と、帝国から脱出した共和主義の人々が建国した自由惑星同盟の2大陣営に分かれた戦乱が起こっていました。

その戦乱が100年以上続き、双方の陣営の政治体制の腐敗によって、小競り合いはあるものの膠着状態が続いていました。

その膠着状況の中で、姉が銀河帝国皇帝の寵愛を受けたラインハルトという軍事の天才が、若干20歳で、武官として二番目の地位となる上級大将となったことで歴史が大きく動き出します。

彼が自由惑星同盟の宇宙艦隊を次々と撃破し、膠着状態が崩れるかと思われた頃、自由惑星同盟にも軍事の天才、ヤンが登場します。

歴史学を愛し、貧乏で学費なしで歴史を学べる士官学校へ進学するも、歴史から学んだ類まれなる軍略で頭角を現し、歴史学者になりたい本人の意思とは無関係に高い地位を得ていきます。

「常勝の天才 ラインハルト」
「不敗の魔術師 ヤン」

後世の歴史からそう呼ばれる2人が初めて激突したのが、このアニメの第1話でした。
それから12話が経過し、第13話目から劇場版アニメ化されたのが本作「星乱 第1章」です。

【星乱までのあらすじ】
第1話から12話までの間に、以下の紛争がありました。

「アスターテ会戦」
ラインハルトが、自由惑星同盟に12個ある艦隊のうち3艦隊と戦闘。
1艦隊で2艦隊目まで撃破するも、最後の艦隊に搭乗していたヤンによって全勝できずに終わります。

「イゼルローン要塞攻防戦」
アスターテ会戦の功績で、13番目の艦隊創設とその指揮官に任命されたヤン。
100年以上難攻不落とされ、帝国と同盟の中間点にあるイゼルローン要塞攻略を命令される。

要衝を陥落させることで帝国と同盟に和平をもたらすことができると信じ、ヤンは知略によって、味方の兵士を1兵も死傷させずに陥落。

「アムリッツァ会戦」
ヤンの思惑とは裏腹に、同盟はイゼルローン要塞陥落を帝国攻撃の好機とし、帝国領土への侵攻を決定。
自由惑星同盟の2/3の戦力を投入し、帝国領土に侵攻する同盟軍。
しかし、そこに軍隊はなく、残されていたのは食糧を求める帝国の平民たちでした。

帝国の専制政治から共和制への解放を説く軍隊のため、平民たちに兵糧を分配する同盟軍。
そのあまりの量に兵糧が尽きかけ、兵站が伸びきったその時襲い掛かったのがラインハルト率いる帝国艦隊でした。

【星乱 第1章感想】
「帝国の専制政治から共和制への解放」という大義以外の戦略がなく、現場指揮官からの反発を押し切って開始された帝国侵攻を読み切って、兵站が伸びきった同盟軍を完膚なきまでに撃破するラインハルト。

その敗戦濃厚の戦いにおいて、またも残存兵力を再編して包囲網を脱出したヤンの駆け引きが非常にスリリングに描かれています。

3Dで戦闘が描写されるようになって、艦隊戦を平面的(地上戦のよう)に前後左右のみの展開(上下がない)として描くことに無理が出てきていますが、それでも面白い会戦です。

学生時代に小説を読んだ頃は、ラインハルトのような煌びやかな戦略に憧れましたが、都市を重ねると、上層部の無理な戦略に愚痴を言いながら戦闘を行う同盟軍の幕僚に共感するようになる不思議なアニメです。

名前を覚えることが大変なアニメですが、社会を生きると共感することが増えるアニメです。

激突が公開されますので、ぜひ1話から24話までを視聴してみてください。