ひば

最初で最後のキスのひばのレビュー・感想・評価

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
4.5
あの時ああすればよかったなっていつも考えてる。けど1つしか選択できないし他の選択を体験することはできない。そんなことわかってる16歳だって16年も生きてるんだから。でも20歳になっても変わらないよ、50歳になったってきっとそう。でもあの時はそれが最善だと思ってたんだよ。
相手にも自分にも誠実でいたい、でも恋なんてものは正気じゃやってられないんだ、じゃあその正気じゃなかった瞬間の責任はいったい誰がとる?なのに私ときたら、記憶から排除する、記憶を塗り替える、良いところだけ巻き戻す、"あの時の私"がいけなかっただけ、と…そうそれは誰しもがそうなの…
最後のアントニオの言葉が正しいかどうかの判断はできない。許容という言葉が、その選択が正しいのかどうかを作中でもあったように考えなければいけないから。

スマッシュヒットとあるけど一体どの層に突き刺さったのか気になる。私はすごく好きだけど、もし若年層からの支持がマイノリティの因果や周りの環境下への共感によるものだとしたら、それだけ身近なものであるという解釈でいいの?それって…それってすごく酷。

校門の前で立ち止まるアントニオが頭から離れない。君は一度は去ろうとした。そしてしばらく立ち留まった。そして中に入った。何を考えていたんだろう、でも私はきっとわかってる。けどわかりたくないんだ、本当は。そして崩れ落ちる彼を見ても、わかりたい気持ちなんて持ちたくないんだよ。だってそれが君の最善だったんだろ、何よりも優先したかったものだったはずだ。後でどうなるかわかっていながら。
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