はるこ

最初で最後のキスのはるこのネタバレレビュー・内容・結末

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

結末を知った上では二度とは見たくない。けどもしこの映画の記憶だけがすっぽりなくなったらもう一回みたい。そんな映画です。

前半のキラキラ、ポップ、親友さえいれば無敵!感がほんと〜に良かった!画面がかわいいし音楽はノリノリで楽しいし笑顔あふれる。

ロレンツォが本当に良かった!ゲイだっていうことをあの偏見まみれの隠しもせずに生きていくことがどれだけ苦しいことか私には想像してもしきれません。彼は完全に強い人間なんじゃなくて、強く見せてる部分も大部分を占めてるんだなっていうところが年相応で良かった。例えば自分がみんなに愛されてる妄想をしたりだとか、そういう部分で彼の弱いところを見せてくれていたけど一番はやっぱり車内でなんで自分を養子にしたのかって聞いた部分だと思う。
両親がいつ亡くなったのかとかなんで施設に逆戻りしたのかとか劇中では分からないままだったけれど今までの人生の中で脆さを隠さざるを得なかったっていうこととそんなに愛されてなかったんだろうなってことはわかる。その上でロレンツォが人一倍愛を求めていたことも。自分をひたすらに守ってくれた新しい父親を見て、ロレンツォはこの人たちなら愛してくれると思って希望を抱いたりしたんだろうか。
偏見の中で生きていくのは辛いだろうに自分を隠してしまったりはせず、脆い部分だけを隠してしまうロレンツォの選択にものすごく胸が痛くなった。

ブルーは最初、えっほんま?まじで?と思ってたけど本当に股がゆるいわけじゃなくて、愛しい愛しい彼に愛されたかっただけなんだと知って彼氏へのヘイトが高まった。
完全にブルーの気持ちに漬け込んでて大切になんて一切してないし、それでもブルーは彼からの愛が欲しくて一生懸命で…健気すぎて見てて痛々しくなるような恋だと思った。

アントニオも偏見の中で生きてきたのだと思う。真偽の程はわからないものの知的障がい者だとされてて、留年してる学校ののけもの。三人組の中でも彼が一番何をするにも臆してて、無敵モードに入りきれてない、人の目をかなり気にするタイプなのかなと感じた。
この悲劇って、そもそもロレンツォのことを元から偏見の目で見てたから起こったことなんじゃないかとさえ思う。彼のお兄さんの話って、アントニオの心の底の声だと思って私は受け止めていたから、ロレンツォは苦手みたいな本音と、でも彼は友だちっていう建前が常にアントニオの中で争ってたんだと思った。
思春期ゆえの視野の狭さ、経験の浅さとそれに反しての思い込みの深さ。さらにプラスして偏見の怖さを突きつけられました。

最後に示されていた模範解答は彼らには難しすぎる。だからこそラストシーンはあまりに眩しくて涙が止まらなかったです。
はるこ

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