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最初で最後のキスのsilkのレビュー・感想・評価

最初で最後のキス(2016年製作の映画)
3.8
川の中で笑い合う3人の写真が忘れられず、いつか観たいと思っていた作品。最近amazon primeに導入されたと知り、すぐさま鑑賞した。鑑賞後、この写真の意味が分かり、胸が苦しくなってしまうのだが…。

ある噂によって周りから"ビッチ"と陰口を叩かれているブルーは、愛想がなく挑発的な態度の女の子。しかし親を気遣う優しい一面もある。
ロレンツォは奇抜な服装と言動が、いかにもステレオタイプなゲイ。ゲイである事に誇りを持ち、自信に満ちていて揺るぎない強さがある。
そして彼、顔がとても綺麗な上にエキゾチックな艶かしさも兼ね備えているのだが、俳優のリマウ・グリッロ・リッツバーガー君がオーストリアとインドネシアにルーツを持つ方らしい。納得。
それに対してアントニオは、周りから頭が悪いと馬鹿にされ自信がない。自らの暗い過去を引きずり、常に浮かない顔をしている。
とはいえ、バスケ部に所属しガタイの良い彼を思えば、話の展開が容易に想像できる。

典型的なキャラクターの主人公達が「学校のはみ出し者同士で友情を育む」という典型的なストーリー。加えて、男子2人と女子1人のトリオという構図は、青春オタクなら数万回は通過した設定ではあるんだけど、やはり好きだと認めざるを得ない。
さらに、カラフルな世界観と、突然登場人物達が踊り出す陽気さ、次々と場面が移り変わる疾走感は、鑑賞者の気持ちを若くさせる。
ヨーロッパの高校生お決まりのハッパを吸うシーンも登場し、思わず待ってました!と心の中で叫んでしまった。
「3人がペアルックを着て学校をサボる」というシーンをわざわざ入れてくるあたりも、青春オタクホイホイ的映画に仕上がっている。

設定を詰め込みすぎているせいで、中途半端感が否めない部分も多くあり、メッセージ性も少し曖昧な本作だが、それでも3人のかけがえのない日々と衝撃的なラストを目の当たりにし、私にとって印象に残る映画となった。

(2020/4/8鑑賞 2020/6/27noteより転載)
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