けめこ

花は咲くかのけめこのネタバレレビュー・内容・結末

花は咲くか(2017年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

2018/3/12 東京
ジュウオウジャー、明日の約束で全然違う顔を見せてくれた剣くんと、ニチアサ2回登板の天野さん、これまたニチアサ緑の戦士の塩野くん。そしてBL。これは観ねば、と上京。原作は全く知らず、映画だけ観た人の感想です。

蓉一がとにかく美しすぎる。
目。顔を桜井さんの方に向けないのに、桜井さんの方を見ようとするから、黒目が片側に寄って黒目と白目がはっきりわかれる。その目がとてもきれいで。
あの、透き通るような存在感。きれいな顔。色白の肌に、唇が紅くぽってりしていて。桜井さんでなくても抱きしめたくなるよあれは。
細身になった?少し絞ったかな?
戦隊寒色系戦士の顔なんだよね。すっとしててクールに整ってるというか。絵も青と緑でイメージ通り。ほとんど無表情なのに、いろんな感情を乗せる芝居がほんとに綺麗。最後に花の絵を描いているところは、ほとんど無表情なのにどこか笑っていて。切ない感情の目は、見てるだけのこっちの胸が痛くなるくらい。表情がくるくる変わる藤本と正反対だった。
声。最初は小さめの低い声で、声も無表情。だけど桜井さんに気持ちをぶつけるシーンでは、ボリュームもトーンも上がってて。
力。桜井さんを引き寄せたり、藤本を突き飛ばしたりする力は、その華奢な見た目からは予想外なくらい、あまりにも強くて。でも19歳の男ならきっとあのくらい力は持ってるんだろうな。それを制御しきれてない感じ。初めての感情に出会って、初めてそんな力を使うことになって。自分でもどのくらいの力を持ってるかわからないから、適切な出力に調整することができないで全力を出してしまってる。
息づかい。蓉一の身体に桜井の手が触れたときの、蓉一の深く吐く呼吸。桜井さんもよかった、風邪で担ぎ込まれたとき、冷たい手に安心した呼吸。

蓉一は19歳の大学生にしても何も知らなすぎる。あの環境で育っているからこそ成り立つ、蓉一の危ういほどの純粋さ。実際にはこんな子なかなかいない。設定が上手いし映像に説得力がある。
葉っぱついてる、って言われて、素直に頭を差し出す蓉一よ。この素直さ、並の19歳ならもうなくしているようなもの。それを持っている蓉一だから桜井は惹かれるんだ、ってのがわかるシーン。

蓉一は、若さゆえに、何も知らないがゆえに。桜井さんは、大人であるがゆえに、仕事や蓉一の将来を背負っているがゆえに。どうしようもなく惹かれたその気持ちを持て余してしまう2人が、正反対。

桜井さんが写真を裏返してからずっと泣きの態勢だった。別に悲恋じゃないんだけど、泣きポイントがたくさんあって言い尽くせない。何度もこみ上げるものがあった。
絵を塗りつぶしたとき。抱擁。1人で煙草をふかす桜井さん。そして最後の絵がほんとうにきれいで…。

藤本…!いい人かよ…!塩野くん、前に観た映画(お江戸のキャンディー2)でもこんな役回りじゃなかったっけ。根っからの善人顔だから似合うんだ。いい人かよ…!彼には幸せになってほしい。

一緒に住んでる親戚たちもほんとにいい人ばっかりで、この人たちが大事にしてきてくれたから、今の蓉一があるんだな、ってのが伝わってくる。あんなに応援してくれるなんて、本当に蓉一のことが心配だったんだね。蓉一の絵もわからないし笑顔にする事もできてなかったけど、蓉一を気づかうその気持ちはみんな本物なんだよね。

減点ポイントが思いつかない。強いて言えば一緒に住んでるのは誰でどういう経緯なのか、をもっと早く知りたかったかなあ、ってくらい。
けめこ

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