優しいアロエ

ターミネーター ニュー・フェイトの優しいアロエのレビュー・感想・評価

3.0
〈商業性というターミネーターに追われ続け、シリーズ早6作目〉

 「T2の正当な続編」を謳う本作は、シリーズの黒歴史を丸ごとなかったものとし、いわば未来を変える以前に“過去を変える”ところから企画が始まった。しかし、残念。この作品も黒歴史の一部と化してしまいそうだ。

 結局は最初の2作の焼き直しなのである。女性キャラクターでメインを固めたり、中米にルーツを持たせたりと、設定には現代らしさも感じるのだが、大まかなストーリーと結末にまるで斬新さがない。

 生活感がわからぬままストーリーが動き出したのでキャラクターにも愛着が湧かず、生死がどうでもよかった。カットとCG加工を多用したアクションも私の好みに合わなかった。どこかが極端にダメというわけではないが、「新しさがない続編」というのはダメダメな意欲作よりも好感が持てない。

 結局、このシリーズの最高傑作『T2』が、〈旧型が新型を倒す〉ことを以て、「古い映画でも新しい映画を倒せる」「低予算でもブロックバスターを倒せる」ことを高らかに謳っているわけで、そういった意味でもこのシリーズは、大バジェットを伴った続編製作とは相性が悪いのだと思う。

 『T3』以降の続編たちは皆、『T2』に反撃を喰らう愚かな新型ターミネーターに過ぎないのである。逆に言えば、新作が『T2』を超えるためには、〈新型が旧型を倒す〉くらいの挑戦的な展開が必要なのではないだろうか。『ブレードランナー 2049』や『トイ・ストーリー4』のように、既存の傑作を覆す覚悟を持ってもらいたいものだ。
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