umisodachi

ターミネーター ニュー・フェイトのumisodachiのレビュー・感想・評価

3.9
ジェームズ・キャメロンが製作に復帰。『ターミネーター2』の正式な続編と銘打って世に放たれた作品。いくつも作られている今までの続編を【なかったこと】扱いにできるシステムはどうなんだ?という気がしないでもないが、とりあえず「T2から直接繋がっているという設定なのね」という気持ちで臨んだ。

スカイネットによる審判の日は回避されたが、やはり地球は滅亡へ向かっていた。ある日、メキシコに住む21歳のダニーの職場へ、新型ターミネーターが襲撃に来る。間一髪のところで彼女を助けたのは、機械化された未来人・グレースだった。ターミネーターから逃亡するダニーとグレースだったが、ハイウェイで追いつかれ絶体絶命に。そこに現れたのは、あのサラ・コナーだった……。

面白かった。アクションシーンがバラエティに富んでいて、かなり見ごたえがある。新型ターミネーター(私判断で錦戸亮に似ていたので、以下錦戸と呼ぶことにする)の設定がそこまで無茶じゃなくて、ギリ接近戦でいけるくらいの強さなのがよい。車や飛行機のシーンはダイナミックなアクションを、肉弾戦は細かいアクションを堪能できるので、ワンパターンに陥らなくて飽きなかった。

全体としては、あくまでもターミネーターを知っている人向け。前知識がないと理解できないという意味ではなくて、良い意味でも悪い意味でも懐古趣味ではある。シュワちゃんとリンダ・ハミルトンがメインとして出演しているのはもちろん、ジョン・コナーの回想シーンもあるし、「正当な続編」というのは間違いないのだが、定められた枠内におさまっちゃっている感も否めない。これはもう好みの問題かな。

ただ、その中でもきちんと時代に合わせたアップデートはしている。ダニー、グレース、サラという中心人物は全員女性だし、あくまでも英雄の母親でしかなかったサラ・コナーの扱いに対する現代的な答えも用意されている。この3人の女性の描き方も丁寧で良かった。そのあたりの描写は抜かりなくて好感を持った。

それにしても、サラ・コナーが強すぎる。ターミネーターであるシュワちゃん、機械化されたグレースと同等かそれ以上の戦いぶりを見せるからね!何の躊躇もなく錦戸に向かっていく様は、もはやちょっとヤバい。規格外の強さ過ぎてオモシロの域に達している。

今回の敵であるところの錦戸は、今までのキャラに比べると弱そうな見た目(なんせ錦戸だから)。そして、無関係の人への危害は極力避けるという配慮を感じた。だからT2に比べると迫力がないのだが、情報網を使った探索能力の高さや、よくわからない分身の術などによる得体の知れなさは増している。よく笑うしね。

シュワちゃんのその後の描き方も良かった。見た目が老けているのは不自然だしちょっと無理はあるものの、「そういうことならばあり得るかも」というギリギリの設定で◎あとは面白いしゃべり方も健在。まあ、このあたりのギャグセンスは先述した懐古趣味に通じるだけれども。

そして!なんといってもグレース役のマッケンジー・デイヴィスが良かった~。『恋しくて』のメアリー・スチュアート・マスターソンをデカくゴツくした感じなんだけど、最高にイカしていた。彼女に首ったけになる女性は多いと思うわー。新たな女性ヒーローの誕生。そういう意味で、サラ・コナーに匹敵するインパクトを残したといえるのではないだろうか。

目新しさを求めると肩透かしを食うが、アクション映画してはとても面白い作品だったと思う。満足。


umisodachi

umisodachi