なべ

ターミネーター ニュー・フェイトのなべのレビュー・感想・評価

3.3
2で完結したターミネーターが続けられるとしたら、設定だけを生かした駄作だろうと思ってた。だからこそ、キャメロンは手を出さなかったんだろうし、実際その後につくられたシリーズは出涸らしだった。
でも、個人的にはターミネーター3や4は二次創作としてはそんなに悪いとは思わない。出涸らしながらも知恵を絞り、アクション映画としての最低のラインは守っていたと思う。ただし、3ではサラ・コナーの病死、ジェニシスではまさかのジョン・コナーの◯ー◯◯ー◯ー化と、自爆的ともいえるショック演出が足を引っ張っていたのも事実。
はたして正統な続編と銘打たれた本作がどれほどの新しい運命を見せてくれるのか。実のところ不安しかなくて、他に観たい映画を優先し、後回しにしてたのだが…

なんだよ!やっぱり二次創作じゃんかw
予想はしてたけど。今回封印したのはジョン・コナー。それも開始早々に!ひどいw
しかしよくあんなカットが残ってたもんだ。サラの悪夢の別パターンか? まさかCGではないよな(なんとCGだそうです。恐ろしい時代になったもんだ!)。確かにショックは受けたけど、嫌悪感もかなり感じたよ。3以降をなかったことにするんじゃなくて2まで丸ごと全否定だからね。正統な続編のくせに随分なことやってくれるじゃないの。

この正統な続編にアドバンテージがあるとすれば、リンダ・ハミルトンのサラ・コナーが帰ってきたことくらい。老いてなお存在感があるし、あまり他では見ない役者だからこれは素直に嬉しかった。あとは女性キャラがそれぞれ立ってたことも評価できるかな。なんか、ダニーを巡って嫁姑問題みたいなシーンもあったし。
しかし、肝心のターミネーターがなあ。なんかちっとも怖くないんだよ。ターミネーターのおもしろさって殺人マシンの怖さだと思うんだが、演出が拙いのか、ガブリエル・ルナがイマイチなのか、全然怖くない。分裂の脅威もイマイチピンとこないし。分裂して気取ってるんじゃねえぞ、REV-9!
きっといい奴なんだろうなガブリエル。セーラームーンに出てきそうな名前だし。
思えば、ロバート・パトリックは偉大だったよ。マシンなのに獰猛なネコ科の動物のような立ち振る舞い。ストイックなまでの殺意。あれは怖かった。REV-9には鬼気迫るあの殺意が欠けてる。ガブリエルよりはまだイ・ビョンホンの方がよかったんじゃないか?
しかも、肝心のシュワルツェネッガー翁に至っては耄碌し過ぎて、どこで活躍してたかが印象に残ってないというねw そりゃ実際におじいちゃんだから仕方ないんだけどさ。心臓も悪いしね。まあ、ターミネーター人生で有終の美を飾れてよかったのかも。

カイル・リースの役どころで投入された女性兵士のグレースことマッケンジー・デイヴィス(ブレードランナーの娼婦と同じ人に見えない!)の健闘は讃えておきたい。ふっとい注射を打ちながら、満身創痍で戦う姿は応援せずにはいられない。ちゃんと痛みも伝わる確かな演技があったからこそ、楽しめたニュー・フェイトだった。
てか、ダニーを守るのに3人の戦士は多すぎるよ。物語的にはシュワルツェネッガーはいない方がよかったのでは?

ナタリア・レイエスに関しては、言及するほどの印象は受けていないというのが正直なところ。一応、戦士としての目覚めを描いてはいたけど、ぼくの中ではモブキャラの1人として処理されている。ショックや戸惑い、覚悟など見せ場は多かったはずなのに、フォーカスされてた気がしないのだ。子宮ではなく本人だってくだりもあっそうって感じで受け流しちゃったわw

なんとなく全体がアクションのためのアクションぽくて、動機やドラマが二の次になってた印象。すごいことが起こっているのに手に汗も出ないし、興奮もない。T-800よりT-34の方が100倍手に汗握ったし、興奮した。
2では、ジョンの発見→サラの奪還→ダイソンの抹殺→T-1000との死闘、とシーンごとのミッションというかテーマがあったよね。あれがドラマのうねりを生み出していたけど、今回のはただの追っかけっこ。こりゃ感動できないわけだよ。
観てる間はそこそこ楽しめるが、観終えて振り返るとつまらない印象になってしまうのは、3、4と同じだ!

ブエナビスタが配給していたところをみるとディズニーがアトラクションのひとつとして狙っているのかもしれない。となるとこれからも続編がつくられるのか。
でも次作はもう観ないかも。
なべ

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