タケオ

ターミネーター ニュー・フェイトのタケオのレビュー・感想・評価

3.7
『ターミネーター』シリーズ(84〜19年)は1作目から複雑なタイムラインを描いていたがために、続編やリメイク作には'斬新なアイデア'に加えて'新たな未来の可能性'を追求する必要が生まれてしまった。『ターミネーター2』(91年)が興行的にも批評的にも大きな成功を収めることができたのは、上記の2点を見事におさえていたからだと言えるだろう。一方で、『ターミネーター3』(03年)以降のシリーズは興行的にも批評的にも成功を収めることができていない。シリーズのマンネリ化を意識しすぎた結果、『スターウォーズ/最後のジェダイ』(17年)のように「斬新なアイデア」ではなく「過去作への逆張り」を意識しすぎたのだ。そう考えると本作は、『スターウォーズ/フォースの覚醒』(15年)とかなり近い制作手法がとられているように思える。シリーズ1作目の焼き直しと言われても仕方がないような王道展開で無難に物語を進めつつ、ここぞという瞬間にハン•ソロ(ハリソン•フォード)のようにサラ•コナー(リンダ•ハミルトン)を投入するというあざと〜いやり口だ。だが、ファンの'欲求'と'ノスタルジー'を満たすことに特化した同人作品としてのサラ•コナーが悔しながら最高だったことに加え、新キャラクターとなる人造人間グレース(マッケンジー•デイヴィス)が惚れ惚れするほど魅力的であった点が、本作最大の評価ポイントだといえるだろう。魅力的な新キャラクターの創造に成功した時点で、本作は『ターミネーター3』(03年)以降のシリーズとは比べものにならない程の結果を残したといっても過言ではないはずだ。アメリカとメキシコの国境線付近が舞台となり、主に女性キャラクターが中心に物語が展開していく歴代初の<女性のエンパワーメント>となったことから、本作が「反トランプ」的な意図を持った作品であることは間違いない。どこまでもファンと現代の世相に寄り添った、実に「今っぽい」作品だといえるだろう。だが、「2の正当な続編」というキャッチ•コピーは流石に失礼極まりないだろ、バカ野郎💢
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