NAO141

ターミネーター ニュー・フェイトのNAO141のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的になんとも複雑な気持ちになる作品。公開初日に映画館で観たが、その時の率直な感想は「なんだこれ…」だった。なんと言っても、〈ジョンが死んだ!!〉これが自分の中ではアウトだった。アウト過ぎた…。ある意味完成された結末だった「ターミネーター2」、その後、続編が続いたがすべていまいちだった。それだけ「ターミネーターシリーズ」はオリジナル第1作と第2作が完璧だった(…自分の中では)。そして、本作、「ターミネーター」の生みの親であるキャメロンが戻ってきた!これはもしかしたら「ターミネーター2」以上の作品が誕生するか!?…と期待したのだが、、う~ん残念。生みの親がジョンを殺してしまった上に、本作を「ターミネーター2」の正統続編としてしまったがために、もはや後戻りできない…。これまでなら作品がいまいちでも「大丈夫!いつかキャメロンがまた感動作を作ってくれる!」と思えたが、そのキャメロンがジョンを殺してしまっては、もはやどうすることも出来ない……苦笑。
興行収入的に失敗に終わってしまった本作だが、それはやはり私のように冒頭シーンに衝撃を受けた方が多かったからなのであろうか……苦笑。

しかし、本作、何回も観直してみると、いろいろと考えさせられることもあり、駄作というわけでもない。
ジョンの死はショックだが、考えてみれば「ターミネーター2」以降、ジョンがメインの流れになっていた。ジョンに囚われすぎていた感あり。その結果、ジョンがターミネーターになってしまう作品まで誕生する始末…。本作はある意味での「ジョンという呪縛」からの解放でもあり、その点から見れば冒頭シーンで「ターミネーター2」までの流れを良くも悪くも断ち切ったキャメロンの決断は素晴らしいとさえ思える。生みの親自ら作品の流れを変えた。これは生みの親しか出来ないことだと思った。
本作はキャメロンとシュワちゃんの他に念願のリンダが復活!そして改めて気づいたのは、この「ターミネーター」という作品はT-800やジョンの物語ではなく、実は「サラ・コナー」という一人の女性の物語だったということ!ジョンではなく、サラあっての「ターミネーター」という物語なのだと改めて感じた。

ジョンがシュワちゃん型ターミネーターに殺された時、「なんでまたシュワちゃん型が出てきたんだよ」と思ったが、冷静に考えてみると、これまでは敵一人に狙われてひたすら逃げ、戦うという展開だったが、確実に標的を仕留めるなら、暗殺者(暗殺兵器)を大量に投入すればよい笑。スカイネットがターミネーターを量産し、かつ、それを過去に大量に送り込めるのかはわからないが、少なくとも私ならターミネーターを大量に送り込んでジョンを仕留める笑。「ターミネーター2」の時点でスカイネットはT-1000だけでなく、T-800も送り込んで来ていたという展開は映画としては「そんな無茶苦茶な」という感じがしないでもないが、しかし、スカイネットの対応は現実的で目的達成のためには確実性のある戦略だったといえる笑。

しかし、そこからが少し違和感というか笑えてしまうのだが、目的を達成し(ジョンを抹殺し)やることがなくなってしまった(スカイネットからの指示命令系統から解放されてしまった)T-800は自我に目覚めたというか、人の心を理解するようになり(人の心を理解しようとしているのはターミネーター2から見られた行動ではあるが)、人間と生活するまでになってしまった苦笑。ここが少し意味不明…笑。ターミネーター2でジョンを守る立場にあったT-800はプログラムを人間に変えられたから、人間を守るし人間の心を理解しようとする…それはわかる。しかし、完全なスカイネット側のT-800が任務完了後に自ら人間の心を学ぶようになったり人間と生活するというのは、ある意味故障というか笑、人類抹殺が目的だったスカイネットからすると、これは完全な失敗なのではなかろうか…苦笑。目的を遂行した後にやることがなくなったT-800が新たな目的を見つけ、人間とタッグを組み、自身(スカイネット)を破壊しようと企てるかもしれない…とまでは予想出来なかったのだろうか…苦笑
いや、しかし、サラとジョンが未来を変え、スカイネット社会がなくなってしまったため、すでに過去に送り込まれていたT-800は存在しなくなった未来の唯一の遺物ともなってしまったわけで、それが人間的な自我に目覚めた理由なのかもしれない…う~ん、深い。

見所はたくさんあった。
シュワちゃんとリンダがいないと、やはりターミネーターではないと再認識!
シュワちゃんとリンダが並んで銃を構えるシーンは格好良い!
リンダのあの渋さが大好き!
REV-9もなかなか良い(しかしやはりT-1000のインパクトには負ける笑)。
今回のイチオシはやはりマッケンジー・デイヴィス(グレース)。
ダニーはややインパクト弱いが、未来の救世主の母ではなく、ダニー自身がジョンそのものという展開は好き。
中盤はややだらけたが、物語開始早々のバトルやカーチェイスはスピード感があって良かった!

ツッコミどころとしては、こういった展開だと、ターミネーターシリーズって永遠に続く…というところか苦笑。

切なく感じたのは、サラがジョンの写真が一枚もないと言うシーン。
写真がなければジョンを特定されない、狙われない、しかし写真がないことで自分までが息子がどんな顔をしていたか忘れそうになっている…切ない。

本作、シュワちゃんの名台詞が
いつもの「I'll be back」ではなく、
「I won't be back」になっている。
サラとジョンが未来を変えたため、スカイネット社会はなくなった。結果的にはリージョン社会の未来が誕生したわけだが、そこではもはやT-800は製造されていない。つまり、この未来の遺物シュワちゃん型ターミネーター(T-800)は本作に登場した一体が最後の一体でもあるわけで、今後続編があったとしても、リージョン社会がベースであれば、シュワちゃん型が二度と登場しなくても不思議ではない。頭では理解出来るが、やはりいつまでもT-800あっての、そして、シュワちゃんあっての「ターミネーターシリーズ」であってほしい!

…と、本作は様々な気持ちにさせてくれる作品だった!
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