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メソッドのkazataのレビュー・感想・評価

メソッド(2017年製作の映画)
3.5
『Justice High(英題)』からのオ・スンフン繋がりで"メタフィクション"と言うか"メタ役者"設定が炸裂するBL映画をウォッチ。

ベテラン俳優と新人アイドルが同性愛をテーマとした舞台で共演することになるんだけども、互いに影響を及ぼし合いながら役にのめり込んでいったら、リアル(現実)が大変になっていっちゃう……的な物語。

舞台役者が主人公のメタ展開ラブストーリー作品だと(最近見た)『完全なる飼育 etude』やドラマ『I Promised You the Moon』なんかが思い浮かんだけれども……本作は、いわゆる"メソッド演技"(=憑依型演技=身も心も役に捧げてなりきっちゃう感じ)の"凄み"と"危うさ"がわかりやすく&サスペンスフルに描かれていて、かつ自分みたいなメタフィクション好き人間にとってはかなり切ないラブストーリーになっていましたね。

韓国ドラマや映画好きにはお馴染みのパク・ソンウンおじさんをその気にさせちゃうアイドルを演じたオ・スンフンは、『Justice〜』とは真逆の"精神すり減らし系"演技が炸裂で見応え十分!
(なるほど…『Justice〜』のメイン3人はある意味で全員アイドル出身俳優だったわけか…)

欲を言えば、オ・スンフンが住んでる家(きっとガランとして無機質な部屋だよね…)をパク・ソンウンが訪れるみたいなシーンを入れたりして、アイドル側の孤独感(フード演出なんかも絡めて…)がもっと伝わってくると尚良きかと。


(以下、ラストに触れます↓)


結局のところ、、、
芸歴の長い中年役者よりも現代のK-POPアイドルの方が上手だった=それだけリアルが無い(日常的にキャラクターを演じているせいで本当の自分が無い)というアイドルの切なさが際立つ、切ない幕切れにジーンときました。
(パク・ソンウンには守るべき"現実"があったけど、オ・スンフンにはそんなの最初から無かった的な…)
(「こんな俺にしたのはあんただろ!」的な意味合いでイソン・ヒル監督の傑作短編『Going South』にも通じる愛かと…)

要するに、オ・スンフンは(性別とか関係なく)誰かから愛されたかったんだよね。
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