街角のアレン

運命は踊るの街角のアレンのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
3.8
この作品の発案のきっかけは、遅刻癖のある監督の娘さんが、自爆テロの起こるバスに、運良く乗り遅れたことだったそうです。

そんな「生と死」すなわち運命により近い地で生きる監督ならではのこの作品。
日本の、それも被災した経験さえない自分にとっては、少し恥じらいさえ感じてしまうほど、真正面から運命に翻弄されていく人間がとてもリアルに描かれていました。

また、そういった運命や世代間で続いていくジレンマといったものを、原題『Foxtrot』(ダンスのとある形式)に擬えて、皮肉にも小粋に、洗練さを持って描いている感じは、中東の、しかも戦争絡みの作品とくればなんとなく抱きがちな青写真を、良い意味で打ち破ってくれたような気がしました。

しかししかし、ちょいちょい出てきていたラクダのようなキーになる存在が、さらりとじぶんの人生にも既に登場しているのかな?などと考ると、運命の無情さと無常さに、少しゾッとしますね。。

ちなみにレバノンが舞台の『判決 ふたつの希望』も先日試写で観たのですが、中東の作品はどれも濃厚で見応えのある良作が続いている印象。
登場する男たちも、お国柄なのか、とても性格が似ていておもしろいです。死が近くにあるので当然なのでしょうけど、どちらの作品もみんな非常に頑固なのが味噌です。これに尽きます。だから面白いというか。