シネマスナイパーF

運命は踊るのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
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シンプルな話に対して、こういうバキバキの画作りをする作品は大好き


映像演出に関しては完璧
とにかく観てと
スクリーンに映し出される計算し尽くされた映像は、作為的なフィクションでありながら圧倒的現実感を持つ
文字通り右往左往する人物を捉えるショット、長いワンカットの持つ人物描写の強い説得力

ただ、息子の訃報に対する家族のリアクションは少々雑に感じなくもない
父のリアクションは本人の経験や弱さ故かと譲れなくもないけど、母とその姉妹が別人かーよかったわーとニコニコし出すというのは流石に不謹慎が過ぎると思うが

アーティスティックとも言えそうなほと綺麗に固められた家族側の環境をカッチリと映し出す一方で、息子の出向く、ただ時間が流れていく環境も、淡々としたテンポながらシンプルなデザインの画作りで焼き付けていく


取り上げられている題材やテーマは使い古されたものでも、クオリティがモノを言う
作品の質が高ければ、重い背景も大きく陰を落とす
モロに三部構成、暗い過去のある家の伝統を描いた普遍的なストーリー
罪に塗れ踊らされる我々を力強く見せつける映画