rosechocolat

パンとバスと2度目のハツコイのrosechocolatのレビュー・感想・評価

4.1
乃木坂とLDHかあ…、と思いながら観たものの、流石そこは今泉監督の描写で、俳優陣の元々のキャラクターだとか背景に流されることなく、ブレない世界観ができていた。

すごく陳腐な言い方をするなら、「等身大の心情」が全篇余すところなく散りばめられている。深川麻衣ののんびりとした雰囲気が、自分自身の身の置き所がわからないふみのキャラクターとマッチしている。

一言に集約するなら、「どうしたらいいんだー!」なのだが、その答えを見つけるのは本当に難しく、もしかしたら大抵の人は見つけないまま人生を送ることになるのだろう。きちんと見つけるには自分に向かい合うしかなく、その機会すら逃したまま時が過ぎた人にとっては、ふみたちの日常が眩しく映る。

何気ない風景ですらも特別に感じる視点、そこを描かせたら今泉監督はやっぱり凄腕だなーとつくづく思う。バス車庫だのコインランドリーのロケ地の選び方なんかもそうだし。女子の内面話なのに決してわざとらしくない。適度な場末感があるから、この登場人物たちは人生に迷ってることがリアルに伝わっている。

深川麻衣の衣装も良かったですね。ゆるふわでリラックスできる服だけど、適度なモード感がある。全篇通して、組み合わせが絶妙なバランスを取っていて、男子にも女子にも好かれるふみ像を作っている。
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