ガブXスカイウォーカー

狼/男たちの挽歌・最終章のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

狼/男たちの挽歌・最終章(1989年製作の映画)
4.0
『狼 男たちの挽歌・最終章』と言ってもこれは邦題で、今作は『男たちの挽歌』シリーズとは全く関係ない。監督、主演、ジャンルなどが同じなのでひじょうにまぎらわしいのだ。主役のジェフリー(チョウ・ユンファ)が『男たちの挽歌』(1986年)のマークの親戚とか三つ子の兄弟に改訳されなくて良かった。

さて今作のチョウ・ユンファは『男たちの挽歌』シリーズの陽気なマーク、ケンとは違うクールなインテリの殺し屋を好演。冷静沈着に標的を仕留めるだけでなく、誤って失明させてしまったジェニー(サリー・イップ)のために尽くす優しさも見せる。そしてワイルドな刑事リー(ダニー・リー)と銃を幾度となく突きつけ合う勇姿は鳥肌もののカッコ良さだ。

監督のジョン・ウーは『男たちの挽歌』(1986年)、『男たちの挽歌 II 』(1987年)、『ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち』(1989年)を経て絶好調。ハードボイルドな演出に磨きがかかる一方、ガンアクションは壮絶にバワーアップ。銃撃戦の度に、周囲は穴だらけ、ガラスが割れまくり、硝煙が漂い、血とバックファイアが景気良く飛び散る光景は豪快過ぎて、思わず苦笑の漏れるほどだ。

だが『男たちの挽歌 II 』以降、ガンアクションがエスカレートする一方でやり過ぎと言う声があるのもわかる(実際、今作のクライマックスバトルは長過ぎてちょっと飽きた)。そこはもうリアリティー無視で割り切って楽しむべきなのか。

今作は孤高の殺し屋の生きざまを通し、プロフェッショナルたちのプライドと美学のぶつかり合い、黒社会に生きる者たちの仁義と友情を描いた香港ノワールの秀作である。間違いなくジョン・ウー監督の最高傑作であろう。