タカ

ダウンレンジのタカのレビュー・感想・評価

ダウンレンジ(2017年製作の映画)
3.9
「ここはいいとこだな。」

楽しいドライブから一転した突如の絶望
的確に射抜かれた顔面
貫通した空洞から本来見えないはずの向こう側の景色が差し込み
容易には受け入れられない現実
状況理解を強いられたその一瞬で身体に感じる初めての衝撃
視界の違和感に気づかないフリをして
「急がないと時間切れよ」
絞り出した声もそのままに伸ばした左手は虚空をさまよって
愛する人に届くことは決してない
命を断ち切る非情な追撃に血しぶきが舞い上がり
ゴールの見えない絶望がはじまる

いや〜〜〜〜人体損壊の多いことよ
そんなに生々しく見せる?
血を止めるために皮膚を焼き付ける痛々しさ
あぁイタイイタイイタイイタイ
死体に対してもいっさい敬意を払わない
車でガンガン轢くやん
引きの画で映した時、人形やろうけどめちゃくちゃ飛んでたぞ
そういう描写が映画の核かもしれないけど、個人的にはもう少しおとなしめの方が良かった
チラッとでいいなぁ

銃弾だけで表現される絶体絶命の絶望感は底知れない恐怖を醸す
たいていのシチュエーションならば正体不明と言いつつその姿だけは捉えることができるのに、飛び道具しか認知できない絶望
油断すれば一発で仕留められるし、逆に相手の油断につけ込むことさえ許されない
いつまで続くか分からない緊張感はパニックの種となっていく

希望が見えかけたところで遮断する底意地の悪さ
みんなそれぞれにここから抜け出せるんじゃないかと期待をするのに簡単に摘み取っていく
わざと泳がせて底に叩きつける歪みっぷりが気持ち悪い

あくまで何も分からないままに終わらせるラスト
娯楽の一環として長年行ってきたのだろうという物的証拠は明示されるけども
本人から語られることはとうとうない
分からない方が良いんだろうなぁ
想像の中で存在が膨張していくから
最後の終わらせ方にもギョッとする
気持ち悪い〜
タカ

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