のん

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。ののんのレビュー・感想・評価

4.2
闇鍋フェスティバル


ホラー作品として全世界興行収入歴代1位という爆発的なヒットを記録した前作は、スティーブン・キングの往年の名作へのオマージュを捧げながら、少年少女の成長を描く青春群像劇を軸にした娯楽作品として非常によく出来た傑作だった。


その続編にして完結となる本作は、現在と過去を巧みに交互させながら、“それ”と対峙するルーザーズクラブの活躍が描かれる。


169分という普通のホラー映画2本分に匹敵する規格外の上映時間だが、今回の映画と前作を結びつけるためには必要なボリュームであり、決して間延びしたり退屈なシーンはない。


それどころか、ペニーワイズこと“それ”の引き出しが格段に増えており、映画の上映中こらでもかと言わんばかりに手を替え品を替えテンポよく襲ってくる。ギャグシーンのキレもあり、とにかく最後まで退屈しない。


第1章でそれぞれのトラウマに決着をつけたはずの彼らだが、そのトラウマともう一度対峙していく前半パートから一転、後半はよそうだにしない壮大な展開へと話が膨れ上がっていく。


後半の「キング要素を全部ぶちこみました」感は、前作のオマージュと呼べるレベルを超えて、溶けきらない具材がそのままの闇鍋状態。もはやカオスの域だが、個人的には邦画ホラーの名作『学校の階段』のようで、なんだか懐かしかった。



もう笑っちゃうしかない終盤の展開だが、最後は何とか軌道修正し、前作と本作がシームレスに連結されて2本でひとつの巨大な物語となる。


面白かったー。
のん

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