小麦番長

神と共に 第一章:罪と罰の小麦番長のネタバレレビュー・内容・結末

神と共に 第一章:罪と罰(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【 神仏ハイブリット・エンタメ映画 】

ハ・ジョンウとオ・ダルス以外のキャストはおそらく私は初めて見たと思うけど、皆良かった。護衛担当のへウォンメクと弟スホンはともかく、閻魔様までカッコ良過ぎでしょ(笑)


正直、最後らへんのオモニの愛これでもか展開は韓国映画では見慣れた感があるのでそこまで響かなかったのだけど(泣いたけど!)、『四十九日』をエンタメにしちゃった世界観、現世とあの世とが巧みに絡んで行ったり来たりなストーリー展開やキャラ設定、ビジュアルでもう十分満足。
WEBコミックが原作と知り超納得。
そこにミステリー的に弟の死とオモニとの親子愛要素も加えてもうお腹いっぱい。バーフバリと比べてるレビューも見かけるけどダンゼンこっちのが好き。

更に加えてハ・ジョンウ演じる使者のリーダー・カンニムの過去(出兵してた前世?)がチラリチラリと出てきたり残りの二人の使者たちは “記憶が欲しい” と嘆いてたり、出生の秘密を知れそうな続編の誘いもバッチリ。


不謹慎だけどちょっと行ってみたいと思わせる「あの世」のビジュアル、世界観が凄い。
「お嬢さん」でも思ったんだけど、韓国映画のビジュアルの発想がハリウッドのそれとはまた違ってアイデア満載で独特で好き。
“ウソつき地獄” の森林の中を超高速で突っ走るボブスレーみたいな乗り物とか、美しい天空を渡るゴンドラとかスゲー乗ってみたい。
火責め、水責め、砂責め、氷責め諸々の地獄のビジュアルも発想は奇抜ではないもののテーマパークのアトラクション的な要素があって楽しい。

なんと言ってもこの作品を楽しめた一番の要素は諸々細かい設定とルールが斬新だったこと。
四十九日の間に七つの地獄を巡り七つの裁判で無罪になったら人間として現世に戻れる、って改変された仏教観念もそうだし、
“ 一度だけ現世の人と会える(=親が枕元に立ってたってのはコレのことだ、とか笑)”
現世を変えたり現世に怨霊が現れたらあの世世界が荒れてクリーチャーが出てきたり時間の流れが早くなったり、
なんだっけ、次の地獄に罪を持ち越せるナントカ権だとか、いちいち設定が面白い。(弁護側があんまり主張させてもらえてないのはどうかと思ったけど(苦笑)もっとちゃんと話聞けよ裁判長笑)
しかし日本で死んで四十九日を迎える方がなんぼか楽か(笑)
死んだら仏じゃなくて「神」になんの??仏教由来じゃないの?ってタイトルとか、ツッコミ箇所も多い。
七つの大罪を彷彿させたりキリスト教徒も多い韓国ならではの神仏ハイブリットエンタメなのかな笑 (本来の四十九日は三十五日目に閻魔大王によって死後の行き先(その中の一つに地獄がある)が決まり、四十九日までにその場所と次の寿命やらが決められるらしい。最後が親との関係を問う天倫地獄なのはストーリー上の設定なのでしょう。本来は嘘、盗み、不貞、殺生を問われる。)

人間が皆、生まれてくる前にこの地獄界の様子を垣間見て生まれてくれば、悪業をはたらく輩が減るんじゃないかなーー、なんて思ったりね。
主人公ジャホンが「貴人」と言われる希少な存在って設定であるにしてもジャホンは仏ではない。裁判が進むにつれ見えてくるジャホンの人間くささ。優しさゆえの嘘だとか “ 必要悪” が認められた上で裁判をクリアしてゆくのが清々しい。


主人公みたく常に一生懸命は無理だけど笑、人生は後悔のないように大切に生きなきゃ、と思わせてもらった作品。
(あと、「怨み」の念の強さ!ワタシも強い怨みを抱いている人物が居るけど、怨みを持ったままあの世に行かれたら怨まれた側は大変な目に遭うからな!今から覚悟しとけ!!!)
映画のように現世で悪業をはたらいたヤツはあの世で地獄を味わって欲しい。が、イジメ問題もそうだけど、映画観たくらいでは子供らのねじ曲がった精神は治らないかな。現実はなかなか‥‥
小麦番長

小麦番長