やんげき

神と共に 第一章:罪と罰のやんげきのレビュー・感想・評価

神と共に 第一章:罪と罰(2018年製作の映画)
-
まんまと、泣いた。
母の愛はやはり最強の号泣コンテンツだ。

本作は、一人の真面目な消防士(ジャホン)が命を落とし、冥界の使者たちと共に7つの地獄で裁判を受け、全てが無罪ならば転生できるという仏教思想に基づいた地獄めぐりを描いた作品だ。原作はチュ・ホミンの同名ウェブコミック。

旅先案内&護衛の使者が2人と弁護人1人がついているのが面白い。弁護人は裁判ごとで死者を弁護してくれるという妙に現代的な冥界設定がユニークである。

殺人地獄やウソ地獄など、そもそもが架空の世界を東洋ファンタジー的に見事に実写化出来ているのが見所の一つだが、個人的には使者がBLEACHの愛染隊長の服装で、さらに自在に形が変わる刀のようなものを持っているのに鼻白くならないところに感動した。

また、コミック原作の良さを汲みとり、瞬間移動や真空波などかなり厨二なエフェクトが凝られており、こんな所を真剣に演出に取り入れる人がザック・スナイダー以外にも居たのか!と静かに心震えていた。

テーマについては、家族愛を神の視点から描いてみせるというのが、何より特徴的。

神が審判を下すのはあくまで「誰にも許される事がなかった」悪行で、下界に赦しがあれば、それは神が罰するべきではないというのが裁判の第一条として登場する。

そこに家族間の確執やすれ違いを投げ込むと一体どうなるのか?
このテーマ自体に答えのない罪と罰の問答そのものなのだが、あくまで他者の「赦し」にフォーカスしている。

家族とは他者なのか?という点に対する回答は日本人にも馴染みで心を激しく打つ。

家族感に対する長い歴史があり、信じているからこそ出来た映画。
やんげき

やんげき