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グレインのKUBOのレビュー・感想・評価

グレイン(2017年製作の映画)
3.8
東京国際映画祭9本目はコンペティション部門の「グレイン」。

全編、白黒で撮られた斬新なSF作品。冒頭から今までのコンペ作品とは一線を画す雰囲気が立ち込める。

境界線には謎の鉄塔が立ち並び、そこを越えようとする難民は一瞬のうちに焼け死んでしまうという、恐ろしきディストピア。

この国の食料問題の根幹を成す「遺伝子書き換え小麦」が、ある日、一斉に枯れだした。かつてこの現象を予言した「遺伝子のカオス」を提唱した科学者セミル・アクマンを探すべく、エロールは鉄塔の向こう側に旅に出るが…。

難民をコントロールするための鉄塔・UFOのような飛行体。死体が放置されたまま荒れ果てる廃墟のような町。そしてどこまでも続く穀物の育たない不毛の地。トルコだけにカッパドキア(?)のような街並みを使ったディストピアの風景は、ステレオタイプになった「ブレードランナー」などとは違う新たなビジュアルを打ち出している。

作品中に何度も登場する台詞「Breath or wheat?」はセミフ・カプランオール監督曰く「トルコ建国の父にまつわるトルコでは有名な言葉」。物語の重要な鍵を握るキーワードとなる。

どこまでが現実で、どこからが幻想か? 今語られるべき「難民問題」「食料問題」をテーマにした全てモノクロで語られるSF作品。これはアートです。