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ザ・ホーム-父が死んだのlpのレビュー・感想・評価

ザ・ホーム-父が死んだ(2017年製作の映画)
3.0
第30回東京国際映画祭にて鑑賞。コンペ部門のイラン映画。

父の葬儀に突如現れた、ほぼ絶縁状態になっていた娘。慌ただしく繰り広げられる会話劇の中で、父親の遺体の扱いを巡る対立が生じたり、登場人物が抱える秘密が明かされたりする・・・というサスペンス。

会話劇主体の映画だけど、今作ではこの切り口が両刃の剣になった印象。遺体の扱いを巡るガナリ合いは確かに面白かったし、見所の1つだった。その反面、状況設定や人間関係もほぼ全て台詞で説明されるのみだったので、ストーリーテリングのやり方としては物足りなさも感じた。

ラストのどんでん返しには確かに驚かされた。ただ、これもよくよく振り返ると、そこだけ現実離れした感が残ってやや消化不良。

ロングショットの多用はQAを通じて納得。役者を徹底的にアップで写す点も併せて気になったけど、これはQAでは聞かれず。空間の全体像を見せないことでサスペンスの緊張感を高める狙いと、家族や社会の中での役割や関係性ではなく「個としての人間そのもの」に焦点を当てる狙いがあると解釈。

言いたいことが無い訳では無いけど、面白い/つまらないで言えば、面白い映画だった。ただ、受賞は少し厳しいかな?
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