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迫り来る嵐のsundayのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
3.0
天安門事件以後の中国社会の変貌を描いたものと映画評を空読みして勘違いの先入観で見てしまった・・ が巨大な中国社会の中で生きる点のような男の人生があった。

時は1997年で香港が返還される時。中国側では何も変わらないのかもしれないが、向こう側の香港はきらびやかな所としてイメージされていて、「いつか香港に行けるかな」と今まではかなわなかった遠い香港が身近に感じられる様子が描かれる。対して男の勤める鉄工所は黒くて巨大で赤く燃える鉄は黒い怪獣が火を噴いているようだ。しかしやがて冷徹にも数人を除いて多くの人がリストラされる。優良職員で表彰された男も門の前でシャットアウトだ。連続女性殺人事件の犯人捜しに興味を持っていた男がこの時からさらに犯人捜しにエスカレートする。

冒頭が男が刑務所から出所する場面で、それから過去に戻るので、何か男は罪を犯したのだろうという前提で物語をみていくことになる。そして最後、ディカプリオの「シャッターアイランド」に似た展開。何もかもが男の妄想だったのか。

監督のインタビューでは、2013年に中国西北地方の小さな炭鉱町が荒廃していく記事を見てこの映画を作ろうと思ったとある。何がどういう環境がこういう悲劇を生んだのかを描きたかったとある。確かに何故男が素人なのに犯人探しに熱中するのかいまいちわからない。しいてあげればあの巨大な鉄工所の怪物に迫られてではないか、という気もしてくる。そして「1997年というのは中国がこれから大きく変わろうとする時です。」と言っている。
監督インタビュー記事:http://cinema.u-cs.jp/interview/semarikuruarashi-dongyue/

2019.3.3劇場で
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