泉の少女ナーメの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

泉の少女ナーメ2017年製作の映画)

Namme

製作国:

上映時間:91分

3.6

あらすじ

ジョージアの山岳地帯にて、村に伝わる癒しの泉を守る一家。息子たちは独立し、父は娘のナーメに後を託すが、ある日泉の異変に気付く。ファンタジーと現実社会が溶け合い、幽玄で繊細な映像美が心を揺さぶる現代の寓話。

「泉の少女ナーメ」に投稿された感想・評価

Solaris8

Solaris8の感想・評価

4.0
10/29 東京国際映画祭で「泉の少女ナーメ」を観た。ジョージア(旧ソ連のグルジア)の山岳地帯で村に伝わる癒しの泉を守る父と娘の話で、三人の息子たちは独立し、父は泉の管理人の跡継ぎを娘のナーメに託そうとする。

ナーメは跡を継ぐかどうか迷うが、霧が深くなった湖に泉の魚を放ち、その呪縛から解き放たれる。

映画上映後に監督の舞台挨拶が在ったが、ジョージアという国は黒海に面した国で、物語は聖書の世界から引用した寓話で、魚を湖や海に解き放つ事で自分自身も解き放たれるような神話が在るそうで、草原に馬を放つとか、鳥かごの鳥を解き放つような意味かもしれない。

監督は映画のスクリプトを言葉ではなく映像で表現する事を大事にしていると云う話だった。言葉が少なく映像で語る場面が多い分、映画の解釈は観客に委ねられる感じがしたが、同じジョージアの映画「とうもろこしの島」に雰囲気が似ている。

撮影は南ジョージアのアジャラで撮ったそうで、グルジア正教徒、イスラム教徒が仲良く暮らす場所だと云う。三人の息子の各々の宗教が違うという人物設定にも活かされている。

南ジョージアの山岳地域の厳しくも静かな自然の佇まいと聖書の世界を再現するように慎ましく暮らす質素な人々が印象に残る。
りょう

りょうの感想・評価

4.3
東京国際映画祭2017
映像美!!
特にラストの霧が立ち込めるシーンが印象的。QAで「CGではなく自然現象」だったと知り、嬉しくなる。
gtwdmdjt

gtwdmdjtの感想・評価

4.0
TIFF2017鑑賞

ナーメの美しさは、まるでモナリザのようなフェルメールの真珠の首飾りの少女のような、マザーテレサであり、正にこの泉の神話を体現するに相応しい存在だった。
一匹の孤独な魚が泳ぐ村の奥の泉。その泉の水には癒しの力があり、先祖代々受け継がれてきた。
ナーメの他に3人の男兄弟がいるが、皆、教師やキリスト教の牧師など、それぞれ泉の癒し手を継ぐことなく、新たな社会へ適応をしている。
父はナーメにこの泉の癒し手として後を継ぐことを望むが、ナーメはナラブとの出会いもあり女性としての幸福との葛藤の最中。
自分たちの神話を守るのか、新たなものを受け入れるのか。われわれの暮らしは常にそうやって出来てきた。それが良いことなのか、悪いことなのか、それはそれぞれだ。

普段の暮らしに温もりを与える映画もあれば、普段得られない刺激を与える映画もある。この映画は普段得られない癒しと詩的で哲学的な空想をする余地を与えてくれる映画であり、その分野でもずば抜けて美しい作品だった。

印象的なシークエンスが心に響く
その霧の中包まれていたい。
ellinghi

ellinghiの感想・評価

4.0
話は大したことないけど松明のシーンとラストシーンが美しすぎてそれだけで観る価値があった。良いというか好み。
TIFFにて。
ファンタジックなヒューマン映画。ジョージア(元グルジア)の山村にある実在した話。
神秘の泉が湧く村。麓の街で徐々に再開発が進む中、世の中の情報から取り残され、泉の治癒力や伝承者のカリスマ性を信じて暮らしている人々が居る。その神秘の泉を守る一族の継承者ナーメが主人公。まだ10代の少女であるナーメは、伝統の継承と、自分が想う人生との葛藤に悩みながらも、老いてきた父を心配し、学校にも行かない、恋愛も出来ない、求められる『特別な』自分を生きている。
ある日、再開発の影響で泉に異変が起こってしまう。自然のバランスが崩れたことを悟ったナーメは、伝承者としての選択を迫られる。最後にナーメが下した決断とは…!?

全体的に、自然の映像美やナーメの神秘性が、とても綺麗な映像として映し出されている。霧立った村の雰囲気の中、ナーメが水を運ぶシーンだったり、水の奏でる音や映像など、『水』がとても大事なキーポイントであることが伝わってきた。迫力とは違う側面を持った水の力が映し出されていて、スクリーンに吸い寄せられるような特別の世界が体験出来ます。

劇中、父が「何故、泉の水を飲まないんだ?身体のために水を飲め!」と、兄弟たちを怒るシーンがある。
水は人間にとって無くてはならない命の源である。『どんな水を飲んでいるのか?』で、命の質まで決まると言ってもいい。特別な泉の水を飲んで病気が治る人もいれば、良かれと思って飲んだ水が思わぬ水毒を招いたりもする。今でこそ、お金を出して飲料水を買うことは普通の風潮になったが、以前は飲み水を選んでお金で買うなんて考えられないと思っていた人の方が多かったのではないだろうか。時代の変化に伴って飲料水に対する価値観も変わり、『特別な水』を買い求める人の方が増えた。何かスピリチュアル的な伝統だ宗教だと括られると特別に思ってしまうけど、特別な水を選んで取り入れていることは、水の治癒力を信じているという意味では、何ら変わりないのではないだろうか。

中盤で、父の具合が悪くなって、3人の兄が家に集結するシーンがある。 兄の1人が「宗教、思想、資源、この3つが力を合わせて初めて本領を発揮するんだ」と語る。そして兄弟が奏でるシンボリックな歌が響く。物語のメッセージとも取れる、とても素敵なシーンで、スクリーンにず〜っと魅入ってしまいました。生きることは自然との共存。破壊なくして建築はあり得ないけど、人は自然の摂理をわきまえて生きていかねばいけないことを痛感しました。
mosfilm

mosfilmの感想・評価

3.5
セリフやストーリーでは無く映像に語らせる作品ですね。
このタイプの作品は映像を注視し、作家の意図を見逃さないようにしないといけないので、映画祭の様に連続鑑賞に向きませんというか疲れます。
映画祭のなか日、3本目でEXのスミ席という条件下で見たのですが作品に没頭しました。
実に良い作品でした。
moisk

moiskの感想・評価

3.8
東京国際映画祭にて鑑賞。美しい映像にうっとりしていると、突如、現代の話に引き戻され、民話的な物語でありながら、リアリズムをも感じる秀作。宗教、民族、近代化(土地開発)、家族など、現代における様々な問題が垣間見られる。ジョージア(グルジア)映画といえば、パラジャーノフとイオセリアーニくらいしか思い浮かばないのだけど、パラジャーノフの美しい映像と、イオセリアーニのちょっと不思議な物語性が合わさったような作品かなと。
KUBO

KUBOの感想・評価

3.6
東京国際映画祭20本目は、コンペティション部門の「泉の少女 ナーメ」。

なんて絵心のある監督さんだろう。霧に霞む山々。光と陰のコントラストを強調した室内と人物。時に水墨画のように、時に北斎のように、どこを切ってもスクリーンがアートのようだ。

また「音」も大切にしている。テーマにもなっている「水」の音など、クリアな自然の音が耳に心地よい。

ジョージアの寒村に暮らす少女「ナーメ」は村に伝わる「命の泉」を守る「水の守り人」。村人の病気を治す「癒し手」として、学校にも行けず、結婚もできない。だが、村に水力発電所が建てられたことから村の「命の泉」が枯れ始め、「ナーメ」の生活にも変化が訪れる。

まだキリスト教やイスラム教がジョージアに入ってくる前から続く、古い因習や伝統が、新しい文明の流入や開発によって嫌が応にも変化を強いられてゆく様を描いた傑作。

ラストの霧に霞む湖に佇むシーンの美しさにはため息が出るほどだ。
東京国際映画祭にて。
美しい映像を観たい方は是非とも。
撮影期間を聞いて驚いた。
主演の方のあの深みある表情には落ちていく物がある。
現代とはかけ離れているようで隣にある物語。
凄く神秘的なのだけれど、どこか現実的。
魔法を持つ人が魔法を放棄する。
それはどこか身近な問題と同じだった。
静かでゆっくりじっくり進んでいくストーリー。
苦手な人もいるでしょう。
一人で観たくなるなぁ。
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