Melko

負け犬の美学のMelkoのレビュー・感想・評価

負け犬の美学(2017年製作の映画)
4.1
「あなたは立派よ。オロールもオスカルもあなたが自慢。でも今夜は注文がある。絶対勝って。約束よ。」

あ〜〜デトックス。めっちゃ泣いた。
ベタな展開にベタな煽り音楽にベタなセリフでベッタベッタだけど、見て良かった。

49戦13勝3分33敗

45歳のロートルボクサーが挑む、最後の50試合目。

邦題にセンスがないとたびたび思わされる洋画。でもこれに限っては、わたしはこの邦題が好きだな。
「負け犬の美学」
なんで弱いのにボクシング続けてるの?
なんで負けるのわかってて試合に出るの?
ズタボロになるのわかってるのにどうしてチャンピオンのスパーリング相手になるの?
なんでボクシング続けてるの?

大金が稼げる、これしかできることがない、違うんだ。
ボクシングが好きなんだ。あいにく、「才能」は、持ってないけど。
勝てないけど、続ける。やれる機会があるなら、やる。それが、「負け犬の美学」。

「ポンコツ」「役立たず」「明日から来なくて良い」どんなに言われても、しがみつきたい。ボクシングがしたい。どうすれば勝てるのか。自分はできないけど、人の弱点や強みはわかる。自分の強さは、武器にもならない「打たれ強さ」。
そこには、「負け続けた者にしか」わからない感覚がある。
そして、「負け続けた者にしか」見えない世界がある。

公開練習は娘にとっては辛かったね……
タリクはスティーブを信頼してたからハッパをかけるために、闘志に火をつけるためにやったんだろうけど、やり過ぎだったかな。だけど、あの場面があったからラストが活きる。そんなタリク役はガチの元WBA世界王者だったわ笑 そりゃあ踊る様に打てるわな。笑
あれだけボッコボコに打たれても、スティーブ実は一度も膝ついてないんだよ。ってことがわかるには、まだ娘は幼すぎる。父親は立派に戦ったんだと、誇りを持ってそう言える日がきっと来る。

若き日の所ジョージのような哀愁漂う顔のスティーブ役マチューカソヴィッツがホントにいい味出してる。
あと何気に、いつもくたびれた感じの妻が、スティーブ最後の試合にテロテロの赤いスカジャンみたいなの着てヒール履いて、めっちゃ色っぽい格好で駆けつけたの、なんかグッと来たわ。そうゆうの、アガるよね。旦那としては。

なんか全部うまく行かない時。
何もかも嫌んなっちゃう時。

わたしは何が好き?それは、何で好きなんだっけ?どうして今まで好きでい続けてるんだっけ?
わたしは、何がしたいんだっけ?
問いかけることにしよう。これからは。
Melko

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