回想シーンでご飯3杯いける

負け犬の美学の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

負け犬の美学(2017年製作の映画)
3.7
「負けるが勝ち」が座右の銘の僕なので、これを観ないわけににはいかない。3年間負け続きの中年ボクサーの父と、ピアノが好きな娘による、親子の物語。

父は45歳で、試合の仕事も入ってこない中、欧州チャンピオンのスパーリング相手として収入を得る事を決意。基本的には殴られる事が仕事となる命がけの仕事だが、「負けたからこそ分かる事がある」という信念のもと熱意を持って取り組み、チャンピオンとの奇妙な信頼関係を築いていく。

フランス映画という事もあって、派手な試合シーンはなく、家族ドラマを基本に構成されている。特に娘を演じるビリー・ブレインが、子役時代のナタリー・ポートマンを彷彿とさせる存在感なのだが、後半の肝心なシーンで不在だったのは非常に残念。

娘にとって格好良い存在でありたいが、家族を養っていかなければならない現実もある。敗者としてのプライドと美学。派手さは無いけれどジワジワと心に沁みる秀作だった。