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僕の帰る場所のjamのレビュー・感想・評価

僕の帰る場所(2017年製作の映画)
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帰る場所
生まれ育った場所
あたたかくて優しい場所
…愛しい人が待っている場所…

それは故国、とイコールになる私たちに
このドキュメンタリーのような映画は問いかけてくる

あなたの帰る場所は何処?と。


なかなかおりない難民認定のために
入管の影に怯える毎日
アイセとケインの夫婦には
来日当時抱いていた夢や希望が
もはや手の届かない遠い幻のようで

それでもカウンとテッくんというかけがえのない存在が夫婦を動かす原動力となる

けれどもうまくいかない現実が
ケインの心と身体を蝕み

国に帰りたい妻と日本で夢を叶えたい夫

ママの調子が良くなったら日本に"帰る"

そう思い、言葉の通じない故国、
ミャンマーで始まる母子の暮らし
まだ幼い弟、テッくんは苛立ち泣く
ひとり出奔するカウンの眼差しに映る風景

ここが"帰る場所"?

日本に"帰りたい"
そう愬えるカウンに胸が締め付けられる

ほんとうに帰りたいのは
パパとママ、テッくんがみんな笑ってる
あたたかくて優しい場所


2月のクーデター以降、
軍による弾圧が続くミャンマー
これから更に難民が増えることが予想される

この映画の撮影から7年
ミャンマーを支援するために、と一夜限りの特別上映には
実際の母子を演じた母、ケインさんと二人の息子カウンとテッくんが成長した姿を見せてくれた

近くて遠い国、ではなく
人と人とのつながりを大切に
考えていきたいと改めて思う一夜
jam

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