あいうえお

現れた男のあいうえおのレビュー・感想・評価

現れた男(2017年製作の映画)
3.3
題材は斬新で、面白い演出もあり、観る価値が十分ある作品ではあると思った。それでも何かが足りないとも強く感じる。具体的には、、、

①文明が見えてこない。仮にあえて原始的な争いを見せていたのであっても、何かしらの方法で下界の発達した文明を強調して対比させることは必要に感じる。低予算のためにロケは厳しいとしても、例えばインターネットを絡めるとか、何かしらの処置は可能だったはず。スマホをもう少し有効活用できそう(電話機能しか使っていなかった)。

②登場人物を誘導する仕掛けが甘いのも気になる。「一方が動けない」という設定を長く引きずったのが原因なのだろうけれども、所有の証明のくだりが平坦。三つの証明に難易度的な位置付け(もしくはそれに相当する仕掛け)があれば、さらに切迫感のある展開に導けたのでは。

④異性という設定があまり有効に活用されていないように感じる。せっかく可愛い女優を使っているのだから、もっと何かがあれば良かった(決していやらしい意味ではなくて)。

次回作が気になるので、またこの監督の作品を映画祭で上映してほしい。また、本作とは関係ないが、東京で東南アジア映画の特集上映を定期的に行ってほしい。