ごんす

飢えたライオンのごんすのレビュー・感想・評価

飢えたライオン(2017年製作の映画)
2.0
女子高生の瞳さんが通う学校の担任教師が未成年との淫行容疑で捕まった…
担任の行為の動画が出回り、その相手が瞳ではないかとデマが広がり一切の救いがないまま追い詰めらていく…

『子宮に沈める』が苦しいけれど観て良かったと思ったので同監督作品のこちらも鑑賞。


よくお涙頂戴映画が感動ポルノと批判されることがあるようにこれは単なる胸糞ポルノのようなものだと思う。
退屈な時に胸糞悪さというか刺激的な感覚だけ味わえる作品と感じた。


胸糞映画と呼ばれているような作品は自分も好きな作品が多いけど、“胸糞”という言葉が強いだけでそれらの作品は胸糞悪くなる以外にも沢山の良さがあるのだ。
『子宮に沈める』のように観てられない気持ちにさせられつつも映像表現としてとても引き込まれる…といった感じが今回は無かったのが一番残念に感じた。

多分登場人物は敢えて感情移入しにくいように記号的な人ばかりでそれは良いのだけど、それなら細部はリアリティを出してくれないとダメだと思う。
家に集まる報道陣をカーテンの隙間から覗く…みたいな伝統芸いい加減やめよう。
ニュースやラジオに馬鹿しか登場しない世界観も厳しいし、徹底的に不快感を与えたいのは分かるけどやり過ぎで寒い。
(インターホンに迎えに来るクラスメイトが映る天丼は笑ってしまったが)

良かった所もあって筒井真理子という達者で名の知れた女優が出演しているけれど、彼女を使って作品が伝えたいテーマのようなものを台詞で説明させたりはしなかった所は好感が持てる。

『ずっと独身でいるつもり?』という映画では彼女がそんな役回りだったので今回もそんな感じだったら不憫だなと思ったけど安心。
普通に一生懸命生きてるけど当たり前に娘の全部は理解してあげれていない感じが良かった。


この映画はハマらなかったけど、胸糞映画や泣ける映画というカテゴリーについて考えさせられた。

泣けると聞いて観た映画が泣けなかっただけで全然泣けなかった!だけの感想になってしまう人がいる様に
全然胸糞じゃなかった~とただ刺激を求めるだけの人が増えていく気がする。

「泣ける」「胸糞」などのスイッチが体にあってそれを手っ取り早く押してもらえるだけで良しとするならば本作は胸糞スイッチを小気味良く押してくれる作品ではありました。
ごんす

ごんす