来夢

飢えたライオンの来夢のレビュー・感想・評価

飢えたライオン(2017年製作の映画)
4.3
胸糞映画大好きな俺でも、ちょっとキツイと思った。凄いね、この映画。今の高校生が観てリアルに感じるかは分からないけれど、俺が高校の頃の教室の雰囲気とか、こんな感じだったから凄いリアルに感じた(20年前だけれど・・・・・・)。いや、学生の描き方がほんと残念な映画が多いので。
主人公のスマホケース、あれ流行ってるよね。よく見る。多分細かいところちゃんとリサーチしてるんだろうな(いい加減な見解です)。
本題。
フェイクニュースの危険性。まず大人がわかってないよね。映画内で描かれる薄っぺらくて無責任な大人たち。これってとてもリアルだけれど、こうなってしまうのは当たり前でもあると思う。大人と子供のコミュニティーは違うから、お互いのテリトリーに容易に踏み込むことはできない。大人が勘違いしがちなのは、大人になって自分のいるコミュニティーが広くなることにより、子供たちのもつコミュニティーやテリトリーは大人たちのそれに包括されているものだって思ってしまうこと。勿論そういう部分もあるけれど、大人たちの管轄外の部分が占める割合って結構ある。その関係をさらに複雑にしているのが現代のネット社会。現実ほど子供と大人のコミュニティーが明確に分かれていない。子供たちは大人になって社会に出るときに、覚悟をもって大海に飛び込むわけだけれど、ネットの世界っていうのは自分が小さな池にいたつもりが、気づいた時には大海に出ている。それは大人たちの目の届かない部分で行われ、大人が気づいた時には手遅れだ。池で溺れている子なら助けられるかも知れない。けれど、大人ですら溺れてしまう大海において、子供を救うのは難しい。この映画での大人たちは、「子供たちにとって」ただ無責任であるように見えるが、実際には彼らの居場所で彼らの役割を果たしているに過ぎない。親、メディア、教師。彼らの行為、発言に怒りを覚えるかも知れないけれど、彼らはただ「無知」で「無力」なだけだ。つまりそれは「大人は必ずしも子供を守れる訳ではない」ということ。自分の身は自分で守らなければならならい。っていう子供に対しての無茶ぶりが生じてしまう。だから、こういう映画を子供たちに観て欲しい。だって、無知な大人が無責任な言葉で「ネットは危ないよ」なんて言ったって伝わるわけがないんだからね。
大人はまず、子供の社会のすべてをコントロールする事ができないと言うことを理解すべきだし、その中でなにが出来るのかを知る必要がある。加速を続けるネットの社会の拡大に対して、いつまでも無知のままではいてはならない。って俺は思います。ネットだけの問題でも無いけれどね。
大人と子供が一緒に学べる良質な映画なんじゃないかな。観るの辛くても観て欲しい。
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