すなみ

飢えたライオンのすなみのレビュー・感想・評価

飢えたライオン(2017年製作の映画)
2.8
不快な映像をひたすら見せられるので覚悟が必要なホラー映画。
胸糞っぷりはミストどころの話ではないです。
ホラーとしては良くできてる。
飢えたライオンというか、“動物園のさる”をひたすら見せられる。

ぶつ切りなのはわざとやってるの?演出?
これがキツい…。
このカット意味ある?ってのもある。

カメラや音もガチャゴチャうるさい感じで不快になります。わざとなんだろうけど。

やりたいことはわかるんだけど、「やったった!やったりましたよ!」的なしたり顔した感じが鼻につく。
「不幸ガンガン詰め込みました!こういうのあるでしょ!わかるよね!」
「ほら現代社会の闇!」っていうのがなぁ。

悪い方面での“ご都合主義”というのがしっくりくる。
こんなに都合よく展開しません。
リアリティもクソもない。
映画で「描く」というより、映画のために「使う」という感じがしてものすごく不快でした。

同時期、学校やいじめを描いている作品が何本か上映されていたが、それらの作品には人間に対する嫌悪と同時に敬意や誠意のようなものが感じられた。
この作品には全くそれが見えてこない。
人間、感情、社会問題を記号化して無機質にカット&ペーストしていく。
血が通ってない感じがして、不気味で怖い。

とにかく観客を不快にすることだけ考えてやっているのならば、たいしたものだけど。

良かったのはインターフォンの演出。
ここは鳥肌が立った。
集団となった人間の悪意をよく表現できてる。怖いよね。
おみごと!

あとラストもよかったですね。
主人公瞳が、あんなになってもなぜ学校へ行こうとするのか不可解で疑問だったのだけど、あのラストで僕なりの答えが出てスッキリしました。
というか、あれを計算してやってるならけっこうすごいのでは。
瞳は被害者?でしたが、上記行動から、瞳からも違和感というか“不気味さ”を感じており、この正体がラストで明らかになりました。
瞳役を演じられた松林さんも名演技。

ヒューマンドラマとしてみるとひどいのだけど、ホラーと考えた場合良くできてるのでは。
初めからストーリーを描く映画にしようなんて思ってないだろうし。
でもやっぱりテーマがテーマなんで、そうですかと納得できるものでもなかったり…。
評価が難しいな…。
すなみ

すなみ