KnightsofOdessa

ひかりの歌のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ひかりの歌(2017年製作の映画)
5.0
[Everything was beautiful and Nothing hurt] 100点

人生ベスト。今年観た450本の中でもぶっちぎりで1位。全秒が美しい。非常勤の美術教師が数多くの恋愛ベクトルを交わしつつ、内に秘めたる思いを爆発させる第一話"反対になった電池が光らない理由だなんて思えなかった"。父が建てた想い出のガソリンスタンドが無くなることをきっかけに、変わることを強いられた週末ランナーの追いかけっこ"自販機の光にふらふら歩み寄りごめんなさいってつぶやいていた"。借りたコートのピーナッツに寄ることも言及することもせず、ただ只管に元ロック歌手の父の思いをめぐる第三話"始発待つ光の中でピーナツは未来の車みたいなかたち"。そして、占い・絵を書く行為・ショウタロウへの返事・借りたコートの行方とシーンの物語を終結させることなくシーケンスを切り続け、徒歩・ランニング・車と船による旅を続けてきた映画を、最終的に"帰って来た"男が"受け入れもらう"ことで終結させる第四話"100円の傘を通してこの街の看板すべてぼんやり光る"。全編に渡る絶妙な"間"、それぞれのヒロインが持つ多様な透明感、切られたことで永遠に回り続けるシーケンス。その全てが無限に美しい。

現状3位の『王国(あるいはその家について)』にも笠島智が出ていたので、多分彼女を追うべきなんだろうと勝手に解釈している。あと、第二話の"ショウタロウさん、殴っていいですか?"は至高。あのシーンの透明感は異常。
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